2015 Fiscal Year Research-status Report
三次元ジャイロイドナノ空孔を有する液晶高分子膜の創製
Project/Area Number |
15K13780
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉尾 正史 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60345098)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | キュービック液晶 / カラムナー液晶 / ナノ相分離 / 水素結合 / 光重合 / ナノ空孔 / 高分子フィルム / 分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ジャイロイド極小界面をもつ三次元ナノチャンネル空孔を有するナノろ過膜を創製することである。このために、重合性基を有する両親媒性液晶分子と極性分子との非共有結合形成による双連続キュービック液晶の構築に挑戦する。液晶状態での光重合によりナノ構造を固定化し、チャンネル内部に組織化された極性分子を溶媒洗浄することで空孔を有する分離膜を作製する。
光重合性ジエン基を有する没食子酸グリセリルエステルおよびアミドを設計・合成した。1,2-ジオール基をもつエステル化合物では液晶性は見られなかったが、アミド化合物はキュービック液晶性を発現することが分かった。これらの1,2-ジオール化合物と様々なイミダゾリウム型イオン液体との混合体を作製し、それらの熱相転移挙動を偏光顕微鏡観察、示差走査熱量測定、X線回折測定により解析した。臭化物イオン及びジシアノアミドアニオンを有するイオン液体と1,2-ジオール化合物との複合体は室温で液晶相を形成するのに対して、テトラフルオロホウ酸アニオンとトリフラートアニオンとの複合体では液晶性の発現は見られなかった。イオン液体のアニオン構造が液晶相形成に重要な役割をもつことが分かった。液晶相を形成した複合体を2枚のガラス基板間に封入して紫外線を照射した。液晶構造が固定化された自立性高分子フィルムを得ることに成功した。ナノ空孔材料を得るために、高分子フィルムをアルコール中に浸漬し、超音波処理を行った。風乾した高分子フィルムの赤外吸収スペクトル測定を行った結果、高分子フィルムの内部に組織化されたイオン液体が除去されていることが明らかとなった。この結果は、連続したナノ空孔の形成を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジオール基を有する重合性化合物とイオン液体からなる液晶性複合体の光重合により、液晶構造が固定化された高分子フィルムを作製することに成功した。さらに、高分子フィルムをアルコールで洗浄することでイオン液体成分をフィルムから除去することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はセルロース系ろ紙や多孔性ポリカーボネート膜などの支持膜の上に液晶性複合体の薄膜を形成し、光重合により液晶構造の固定化を行う。さらにアルコール洗浄することでイオン液体成分を除去した後、規則的なナノ空孔を有する機能性分離膜を作製し、限外濾過装置を用いて色素などの様々な有機分子の分離特性の評価を行う。
|
Research Products
(2 results)