2015 Fiscal Year Research-status Report
メタロイド元素骨格への磁性原子団挿入による協奏機能発現-磁性半導体の新設計-
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15K13795
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝沢 博胤 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90226960)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属間化合物 / 高圧合成 / 結晶化学 / 磁性半導体 / 金属ーメタロイド系 / 共有結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタロイド元素は、金属元素との化合物中において、金属結合のみならず共有結合性やイオン結合性を加味した多様な結合を形成する。そのため、金属―メタロイド系は多種多様な結晶構造を有することで様々な磁性・電気電伝導性を発現し、磁性材料・半導体材料及び超電導材料などへの応用展開が期待される。本研究では、超高圧力反応場を利用し、メタロイド共有結合骨格中に磁性金属鎖を挿入した新規金属間化合物の探索を行い、電気的・磁気的に新たな機能を設計することを目指している。 H27年度は、メタロイドとしてゲルマニウムおよびその等電子系を選び、メタロイド含有比の高い化学組成での高圧合成法による物質探索を中心に行った。特に、遷移金属―ゲルマニウム系において、欠陥ダイシリサイド構造を取るCr-Ge系金属間化合物につき、ゲルマニウム含有比の高い系における高温・高圧生成ダイアグラムを調べ、さらにCr4Ge7が高キュリー点を有する理由を明らかにするため、Cr-Ge系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物にSiを加え、新規Cr-(Ge, Si)系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物を合成し、その磁気特性変化を評価した。結果として、4つの新規Cr-(Ge, Si)系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物Crn( Ge, Si)m(m/n=1.744, 1.755, 1.757, 1.759)の合成に成功した。いずれの相も低温でCurie-Weissの法則に従う強磁性体であり、それぞれのキュリー点がm/nと強い相関性を持っていることが明らかとなった。また、ゲルマニウムと等電子となるメタロイド系として、Al-N、Ga-Nを含めた材料探索を行い、MnGe4型化合物につき、形成条件の絞り込みに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度は、遷移金属―ゲルマニウム系における、ゲルマニウム含有比の高い系における高温・高圧生成ダイアグラムを調べ、その発展として、Cr-(Ge, Si)において、4つの新規Cr-(Ge, Si)系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物を得ることに成功している。本系の高温・高圧生成ダイアグラムを参考に、ゲルマニウムと等電子となるAl-N、Ga-N系への展開に至っており、当初の予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、メタロイド原子を等電子系に拡張した物質合成を引き続き行うとともに、共有結合ネットワーク構造中の磁性原子団の配列状況と物性評価を進める。さらに、遷移金属元素の対象を広げ、新規遷移金属-メタロイド系材料の合成を試みる。以上に加え、新規Cr-(Ge, Si)系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物の磁性パラメータにつき、共有結合ネットワーク内の配列(原子間距離、角度など)の視点から精査し、メタロイド組成の調整などを通じて制御する指針を見出すことに挑戦する。
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