2015 Fiscal Year Research-status Report
金属とリン酸塩基ユニットの共同作用を利用した多機能固体触媒の創製
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15K13802
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 慶吾 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (40451801)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸塩基触媒作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
オルトリン酸ユニットを構造内に有する金属リン酸化合物は,酸性質を有する金属ユニットと塩基性質を有するオルトリン酸ユニットの酸塩基共同作用により,優れた触媒として機能する可能性がある.しかしながら,これら金属リン酸化合物の酸塩基共同作用に着目した研究はほとんど行われていない.本年度では,金属リン酸化合物であるリン酸ランタン触媒の合成とその酸塩基触媒作用について報告する.LaPO4は水熱法により合成した.硝酸ランタンとリン酸アンモニウム溶液をオートクレーブ容器に入れ水熱合成を行い、ろ過により回収した沈殿を純水で洗浄後,乾燥または焼成することによりリン酸ランタン触媒を合成した.水熱合成の反応時間を変化させたときのリン酸ランタン触媒のXRDパターンを測定したところ、反応時間増加と共に リン酸ランタン触媒の結晶構造が六方晶構造から単斜晶構造へと変化し,反応時間を長くすることで単一な単斜晶リン酸ランタン触媒が得られた.また,トリメチルシリルシアニドを用いたアセトフェノンのシアノシリル化反応を行った。焼成処理した単斜晶リン酸ランタン触媒を用いた場合に、生成物であるシアノヒドリン収率が>99%と最高活性を示した.この結果から,単斜晶リン酸ランタン触媒は強塩基である水酸化ランタンや酸化ランタン、リン酸カリウムやルイス酸であるランタントリフラート触媒と比較して高い活性を示すことが明らかとなった.本触媒は反応終了後にろ過により回収でき,活性の低下なく再利用可能であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸塩基触媒作用を示す金属リン酸化合物の合成に成功し、触媒反応への応用も可能であることが確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
合成法の最適化や他の金属種のリン酸塩を作成しより高活性な触媒の開発すると共に、構造に特徴的な酸塩基触媒作用の発現を目指す。
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Research Products
(3 results)