2015 Fiscal Year Research-status Report
高感度縦型ナノトランジスタの開発と環境バイオセンサ応用
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15K13813
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
工藤 一浩 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10195456)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオセンサー / 分子流路 / ナノポーラス / 縦型トランジスタ / DNA / 環境センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微細多孔質ナノトランジスタによるモデル分子検出実験による塩基配列検出メカニズムの検証とナノトランジスタ(微小電気信号検出)によるDNA塩基配列検出システム実現可能性の立証を目的とし、特に初年度はモデル分子-電極間の電位変化を感度良く検出できる新型バイオセンサシステムの実現に向けた基礎的な素子作製手法の検討を行った。 縦型バイオトランジスタを作製する第一段階として、シリコン基板に対してKOH溶液による異方性エチングによるテーパー状微細流路の作製を行った。電子顕微鏡による微細流路の観察結果、良好なテーパー状微小流路を形成できることを確認した。また、微細孔貫通と穴径制御において光学顕微鏡を用いた透過光の観察と電解液との電気的導通測定によって判断する手法が、作製制御において有効であることを示した。 高規則性ナノポーラスアルミナの作製に関して、従来の陽極酸化とは異なる2段階陽極酸化法を採用することで、多孔質構造の規則的周期性を有するポーラスアルミナが再現性良く得られることを見出した。また、陽極酸化時の条件(溶液種、溶液濃度、陽極酸化電圧等)を詳細に制御し、目的に必要なポーラスアルミナの孔径(10~50nm)の制御および規則的周期性が得られる作製条件を確立した。 さらに、ポーラスアルミナの孔に減圧溶液注入法により有機半導体(銅フタロシアニン)を注入した縦型ナノトランジスタを作製し、基本的な電界効果トランジスタの動作と数十nAのドレイン電流変調を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、DNAを通過させる超微細流路の作製を行った結果、シリコン基板上へのテーパー状微細流路の作製に成功し、光学顕微鏡を用いて透過光の有無と電解液との電気的導通測定によって微小貫通孔の形成を確認した。また、2段階目の陽極酸化法を採用することによって、孔径が10-50 nmの規則性の高いナノポーラスアルミナの作製に成功している。さらに、縦型ナノトランジスタの基本動作をしていることが確認でき、概ね初年度の目標を達成していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した高感度縦型ナノトランジスタを環境・バイオトランジスタに適用し、DNAのみならず、薬害問題、さらには環境問題で重要となる種々化学物質センサーなど新しい医用、健康、環境分野での応用可能性を探索する。
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