2015 Fiscal Year Research-status Report
局所変形付与による弾性率自己調整金属製インプラントの高効率強化原理の開拓
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15K13825
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲井 正昭 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20431603)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体材料 / チタン合金 / 変形誘起相変態 / 弾性率 / 疲労特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
弾性率自己調整金属は、力学的負荷のない状態では低弾性率を示し、力学的負荷が加わると、変形誘起相変態による内部構造変化により、弾性率と強度が上昇する。本研究では、この弾性率自己調整金属を用い、必要な部分だけを効率的に高強度化することにより、低弾性率を損なわずに、従来の骨類似低弾性率金属製インプラントの致命的な弱点であった低耐久性の克服を目指す。骨類似低弾性率金属製インプラントの耐久性試験を行うと、多くの場合、その表面から破壊が発生する。したがって、耐久性の改善には、表面の局所的な強化が効果的であると考えられる。そこで、本年度は、弾性率自己調整金属と変形誘起相変態が生じない骨類似低弾性率金属(両者はともにβ型チタン合金)にピーニング処理を施し、同処理による表面硬さの上昇量を比較検討した。その結果、弾性率自己調整金属のほうが骨類似低弾性率金属に比べて、表面硬さが大きく上昇する傾向が認められた。弾性率自己調整金属では、ピーニング処理後、表面近傍において同処理前には存在していなかったω相の形成が認められた。したがって、弾性率自己調整金属におけるピーニング処理による表面硬さの大きな上昇には、加工硬化に加えて、変形誘起ω相の形成が関与していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
弾性率自己調整金属の特色である変形誘起ω相変態を利用してピーニング処理により表面近傍にのみω相を形成させることにより、効率的に表面強化することができたことから、当初の計画どおり進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度得られた結果を基に、表面近傍にのみ局所的に形成させたω相の耐久性の改善に対する有効性について検証する。
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Research Products
(9 results)