2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノ・メタマテリアル中に発現するラビリンス型強誘電分極とその微視形状・力学設計
Project/Area Number |
15K13831
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 隆広 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20534259)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メタマテリアル / ポーラス材 / 強誘電体 / マルチフィジックス特性 / Phase-Field法 / 自由エネルギー / ナノ構造 / Landau理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電(圧電)材料は、ナノ機械システムや高密度記録媒体など次世代ナノ科学技術の基幹を成す最重要材料である。通常、強誘電材料は直線的な自発分極を示すことがよく知られているが、内部に微視的かつ周期的な形状を有するメタマテリアルでは、従来の均質材中では見られない多様な強誘電分極パターンが存在する。この新奇な分極パターンによる状態数の増加や特有のヒステリシス応答などの新しい機能により様々な技術革新が期待できる。本研究では、メタマテリアルの微視的内部形状に強く依存して現れる特有の分極パターンとその発現機構を解明することを目的とする。
初年度である平成27年度は、まず、(1)メタマテリアル内部の複雑な微視ナノ周期形状を解析し、大規模自由度を取り扱うため、現有のプログラムを大規模並列計算用に改造・改良を行った。さらに、並列計算環境を構築し、本改造プログラムの実装・調整・最適化を行った。(2)開発した大規模並列計算装置と改造プログラムを用いて、様々な内部形状を有するメタマテリアルの強誘電分極パターンを解析した。特に、メタマテリアルのナノ内部形状はアルキメデス格子の概念を導入することで、系統的に分類・整理できることに着目し、これらのグループについて特に詳細な解析を行った。(3)その結果、メタマテリアルの内部形状によって、交差型、渦型、ラビリンス型など、特徴的な分極パターンが発現することが明らかになった。(4)これら、ナノ・メタマテリアル特有の分極パターン発現メカニズムを解明するため、材料内部の静電場、力場を含む各作用場に分解して解析できるよう、現有プログラムを改造した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、(1)メタマテリアル中の特異な強誘電分極パターンを解析するための大規模並列計算装置ならびにプログラムの開発、(2)様々な形状を有するナノ・メタマテリアル中の分極分布の解析、(3)分極パターンの新奇性の検討、(4)作用場解析プログラムの構築、である。研究実績欄に記載のとおり、これらの予定項目(1)~(4)はすべて実施し、それぞれの目的を達成している。したがって、研究は当初予定通り、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後の研究の推進方策も、当初予定した以下のとおり実施する予定である。 (1)メタマテリアルに対する力学負荷解析を実施し、負荷ひずみに対する強誘電特性の連動性(マルチフィジックス特性)を評価する。(2)メタマテリアル内部の静電場を解析し、分極パターンと静電場の関連性について検討する。(3)ナノ・メタマテリアル強誘電体の力学モデルを構築し、Phase-Fieldプログラムを開発する。(4)開発したプログラムを並列演算装置に組み込み、本自由エネルギーモデルの妥当性を検証する。(5)研究成果をまとめ、発現機構の考察や力学設計を行うとともに、将来展望・発展性について検討する。
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Causes of Carryover |
計算データ圧縮プログラムにより、当初の予定より計算データの保存容量が少なく、これを保存するデータ機器が小規模になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の計算データは昨年度よりも大規模になる見通しであり、次年度実装する計算機器のデータ保存システムに充てる予定である。
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[Book] Fracture Nanomechanics2015
Author(s)
Takayuki Kitamura, Takashi Sumigawa, Hiroyuki Hirakata, and Takahiro Shimada
Total Pages
323
Publisher
Pan Stanford Publishing Pte. Ltd.
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