2015 Fiscal Year Research-status Report
ファイバーレーザローカルヒーティング法による超高温ナノインデンテーションへの挑戦
Project/Area Number |
15K13838
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40323042)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ナノインデンテーション / 押し込み / 高温物性 / 機械的特性 / レーザ加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
単結晶SiC,GaNに代表されるパワー半導体や耐熱セラミックスなどの材料の超高温環境での力学特性解明が急務となっている.一方,現在ナノスケールの力学特性解明に用いられるナノインデンテーション装置の測定温度は500℃が限界である.そこで,本研究では,ファイバーレーザによるローカルヒーティング法を用いた1200℃までの超高温ナノインデンテーションへ挑戦する.レーザによる圧痕周囲のみの加熱のため熱変形が極めて小さく,また押し込みの瞬間だけ加熱するため温度ドリフトの影響も無視できる.さらに,超高耐熱性を有するナノ多結晶ダイヤモンドを圧子として採用することで圧子の損耗を防ぐ.本研究により,各種先端材料の超高温領域の力学特性解明が可能となり,新材料開発ならびにその応用分野へ極めて重要な基礎データを提供することができると考えられる. H27年度では,主に以下の項目について研究を行った.(1)レーザ集光光学系の開発:ファイバーレーザを押し込み領域へ集光し,さらにレーザビームを4分割してミラーを介して4方向からダイヤモンド圧子の先端付近へ照射する光学系を開発した.現在その特性を向上している.(2)ナノ多結晶ダイヤモンド圧子の試作:優れた高温強度を有するナノ多結晶ダイヤモンドを圧子として採用し,ナノレベルの形状精度を有する圧子の試作を行った.また,試作した圧子を用いて単結晶ダイヤモンドおよび単結晶SiCの押し込み実験を行い,単結晶ダイヤモンド圧子との比較を行った.その結果,単結晶ダイヤモンド圧子よりも多様な材料挙動を引き起こせることと繰り返し押し込みでの圧子先端の損耗が少ないことが分かった. 以上の装置開発および基礎実験の成果は,本研究の最終目標の実現に対して大きく寄与するものであると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度では,レーザ集光光学系の開発およびナノ多結晶ダイヤモンド圧子の試作において進展があり,また試作した圧子を用いた単結晶ダイヤモンドおよび単結晶SiCの押し込み実験で興味ある結果が得られているため,本研究は順調に進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
H28年度では,開発した装置およびNPD圧子を用いて単結晶SiCの高温・超高温環境での押し込み実験を行い,提案方法の有効性を検証していく予定である.
|
Causes of Carryover |
H27年度に当初予定していた国際学会発表の旅費や人件費およびその他の支出がなかったため、助成金の一部が剰余することになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度では、国際会議発表の旅費および超高温ナノインデンテーション実験を行うための材料費として前年度の剰余金を使用する予定である。
|