2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノエッジ効果で光の回折限界分解能を超越する光学式3次元微細エッジ計測法への挑戦
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15K13839
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 裕樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70606384)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 計測工学 / 生産工学 / 加工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,次世代ナノ精密機械加工技術に要求される超精密工具刃先ナノレベル形状評価実現を目的として,集光レーザービーム(レーザープローブ)を利用し,光の回折限界を超えた分解能で3次元工具エッジ形状を非接触かつ高速で評価する「ナノエッジ効果レーザープローブ」の原理確立に挑戦するとともに,ビームウェストにおいて回折限界にまで絞られたマイクロサイズのレーザープローブを工具刃先エッジに照射した際の通過光量をもとに,nm級の分解能でエッジ位置を検出(ナノエッジ効果)するエッジ検出手法と,レーザープローブを生成するレンズの原理性質を利用したレーザープローブ走査手法に立脚した超精密刃先形状評価装置を構築し,従来の光計測技術では困難な,光の回折限界を超えた先端丸み径を有する工具刃先の非接触・定量的評価を実現することを目的としている. 本年度は,まず,レーザープローブについて波動光学に基づく回折光学シミュレーションモデルを構築し,主に球面収差による影響を定量的に評価するとともに,工具刃先稜丸み径測定実現に向け,刃先すくい面にレーザープローブを斜入射するレーザー走査光学系を設計した.また,レーザープローブを工具すくい面に垂直入射する光学系を構築するとともに,ビームウェスト位置におけるレーザープローブ径を精密評価するための精密走査機構を有する実験装置を構築した.さらに,構築した実験装置向けに,レーザープローブ出力と走査系から得られるプローブ走査位置をもとに工具刃先の輪郭形状を算出する測定アルゴリズムを構築し,その測定分解能および安定性などの基礎特性を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
波動光学に立脚し,光学系収差の影響を反映したレーザープローブのシミュレーション計算モデルを構築できた.また,計画当初の目標どおり,nm級の分解能でエッジ位置を検出できる見通しが実験的に得られた.以上の状況から,概ね順調に進んでいるものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる28年度は,前年度の検討結果を踏まえ,工具エッジ3次元ナノ形状評価装置の構築,および構築した装置を用いた測定実験に取り組む. 評価装置の構築については,前年度設計の光学系に,工具-レーザプローブの粗位置合わせ用CCDカメラからなる観察光学系を組み込む.また,レーザー走査機構には高精度変位センサ組込型の小型リニアステージを適用し,その変位センサ出力をもとにレーザープローブの工具刃先に対する入射角を制御する.また,受光素子の信号S/N比を確保するため,電流/電圧変換回路には低ノイズ・高精度なものを用い,回路系電源にも超低ノイズ直流電源を採用するなど,測定分解能確保のためのノイズ対策に留意する. 実験にあたっては,シングルポイントダイヤモンド工具を対象として,刃先輪郭形状と切れ刃稜丸み形状評価を試みる.工具先端形状は従来の評価手法(SEMなど)での評価結果と比較し,本提案の有効性を明らかにする.さらに,昨年度構築した回折光学シミュレーションモデルによる検討結果と,実験装置の安定性等を踏まえ,測定不確かさの見積もりを試みる.
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Causes of Carryover |
27年度は,波動光学に立脚し,光学系収差の影響を反映したレーザープローブのシミュレーション計算モデル構築に注力したため次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定どおり,光学系装置の構築に必要となる光学部品等の購入に用いる予定である.
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