2015 Fiscal Year Research-status Report
小型化・高推力化に適した高性能熱磁気サーボアクチュエータの基礎研究
Project/Area Number |
15K13853
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 海二 東京工業大学, 総合理工学研究科, 准教授 (00215766)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機能要素 / 熱磁気アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究実施計画に基づいて,以下のことを行った. [1]提案するアクチュエータの試作:基本特性評価に,提案するアクチュエータを組み込んだ直動機構を設計・試作した.アクチュエータは,永久磁石をハルバッハ配列とした可動子と,ペルチエ素子に貼り付けた2個1組の感温磁性体より構成されている.加熱する感温磁性体を切り換えることにより,推力発生方向を切り換えることができる.案内には,低摩擦のリニアボールガイドを採用した.永久磁石の寸法や分割数,感温磁性体の寸法は,磁場解析に基づき決定した.また放熱用に,銅板とアルミを用いたブロックをぺルチエ素子の下部に設置した,機構の全体の大きさは,74mm x 80mm x 14 mmである. [2]基本特性評価結果:次の基本特性を実験と解析により明らかにした:(1)印加電流を変えて温度特性を調べた.電流6Aを通電した場合,7秒以内に80 ℃に到達した,また実験応答波形を基に温度特性モデルを導出し,その有効性を様々な入力波形を用いて検証した.導出したモデルは温度制御にも有効であることを確かめている.(2)推力特性を解析と実験により調べた.その結果,実験結果は解析結果より小さかったが,感温磁性体を80℃まで加熱することで4.6Nの推力が得られた.この時の消費電力は8.2Wで,既存の電磁リニアモータよりも,良好な消費エネルギー特性を示した.(3)位置決め制御系を設計し,制御特性を実験により調べた.位置決め誤差は,0.02mm以下であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペルチエ素子の熱容量の影響等の当初予期していなかった事項のために温度応答性は計画よりも低かったが,基本的に平成27年度に予定されていた計画に沿った試作と実験を行っている.応答性に関しては,平成28年度に計画している改良により,向上を図る計画である.
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Strategy for Future Research Activity |
熱磁気アクチュエータに期待される小型高推力に加え,高効率と応答性の向上を目的に,前年度とは異なる独創的なアクチュエータを設計・試作し,その有効性を実験により検証する.平成27年度試作したアクチュエータは,予想より応答性が低い問題があったが,平成28年度のアクチュエータにより,その問題の解決を図る.このアクチュエータは,加熱・冷却特性が応答性と効率に影響を与えるため,実験ではまず加熱・冷却特性を評価する専用の基礎評価装置を試作し,その特性を実験により検証する.次いで新アクチュエータを試作し,その駆動性能を調べ,有効性を明らかにする方針である.
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Causes of Carryover |
平成27年度の実施計画と並行して,平成28年度の試作アクチュエータの検討を進めてきた.その結果,平成28年度の試作アクチュエータとその周辺装置には,当初計画よりも多くの費用を必要とすると予想された.そこで,平成27年度の試作装置に関しては,既存の機器や部品を極力利用し,当初計画より購入品を抑制し,平成28年度装置の製作のために,可能な範囲で繰越額を発生させることに努めたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額と平成28年度予算を合わせた費用を,試作装置とその周辺機器の購入に充てる.
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