2015 Fiscal Year Research-status Report
触錯覚とPseudo-Hapticsによる仮想現実感の制御に関する研究
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15K13855
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大岡 昌博 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50233044)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触覚 / 錯覚 / 仮想現実 / 脳計測 / 呈示装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、二種類のHaptic Displayの開発を進めた。一つは、指先に触覚呈示のできる指先呈示型触覚マウスであり、他方は掌に触覚呈示のできる掌呈示型触覚マウスである。まず、前者の指先呈示型触覚マウスについては、触覚ディスプレイ直下に設置した圧力センサの値を使用して、Pseudo-Hapticsにより仮想球の硬さを変更するようなプログラム開発を行った。また、仮想球の仮想硬さに合わせて、マウスの移動に対する仮面上のカーソルの移動を変化することによって横方向にも硬さを感じるようにした。他方、掌型の触覚マウスについては、二本の線を表示させ、二本の線の間の位置関係を固定させて往復運動させることによって柔らかい面を呈示できるベルベットハンドイリュージョン(VHI)を呈示することに成功した。このとき生成される柔らかい面の柔らかさの程度の制御性を心理物理実験を行うことによって定量的に評価し、制御性についても明らかにした。さらに、VHIについては、基礎的な検討も進め、fMRIによる実験結果を詳細に解析することによって、VHIの生成過程を明らかにするとともに、視覚によるものの認知過程と類似な処理機構がある可能性まで調査できた。さらに、指先型、掌型の両方のマウスを使用しているときの脳の賦活状態を評価するために、脳波やNIRSを使用して触覚マウス操作時の脳の働きを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の提案当初に予定していた(1)二つの呈示装置の開発、(2)Psedo-hapticsによる仮想力覚の呈示、(3)NIRSやfMRIによる脳計測の三つの事柄について、(1)と(3)については80%達成しているため概ね順調に進展していると自己評価した。(2)については、操作した感覚的な評価ではおおむね呈示できていると推察しているが、系統的な実験により実証する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の「現在までの進捗状況」で述べたように、三つの項目の内、(2)Pseudo-hapticsにより、仮想的な力を実際に生成出来ているかという問題については、定性的な評価にとどまっている。今後の研究としては、心理物理実験による定量的な評価により仮想的な力の呈示の度合いの評価が中心となる。さらに、制御部分を小型化して、いろいろな現場に運評価実験を進めて、その評価の確度を高めてゆきたい。その際に、子供や老人に対する実験も容易にするために、ゲーム感覚でできる仮想現実感の実験のソフトウェア開発も進めて、実際に適用したい。指先呈示型と掌型を合体して手全体に刺激を表示できる触覚マウスへと発展させることについては、当初の提案の中では触れられていなかったが、そのような一体化も進めてより汎用性のある触覚マウスにしたい。一方で、錯覚現象の基礎的な研究も進めるために、fMRIやNIRSを用いた実験も進めたい。
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Causes of Carryover |
慎重に使用していたが、当初の予算からすると誤差範囲の予算が残り、無理して使い切るのではなく、次年度の予算と合わせて使用した方が効率的であると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度被験者を用いた実験を数多く計画しているので、被験者の謝金等に使用したい。
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Research Products
(1 results)