2015 Fiscal Year Research-status Report
FM-AFMおよびMEMS創成技術を用いた極限流体潤滑の実現と評価
Project/Area Number |
15K13860
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
平山 朋子 同志社大学, 理工学部, 教授 (00340505)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 極限流体潤滑 / コロイドプローブAFM / MEMS創成技術 / テクスチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
流体潤滑状態とは油膜を介して非接触摺動を実現している状態を指し、機械摺動面において最も望ましい潤滑形態とされている。しかしながら、油膜の厚さが極限まで薄くなったときの流体潤滑特性およびそのような極薄すきまにおける動圧発生の可能性に関しては、これまで検討された事例がない。本研究では、ナノメートルオーダのすきまを有する流体潤滑状態を『極限流体潤滑状態』と定義し、コロイドプローブ式周波数変調原子間力顕微鏡を用いてその摺動特性を調査することとした。 本研究では、初めに、京都大学ナノテクノロジーハブ拠点に設置されているMEMS製造装置を用いて、ナノメートル深さのテクスチャ基板を作製した。はじめに、シリコンウエハの表面の汚れを落とすためにウエハスピン剥離・洗浄装置により洗浄した。その後、スピンコーティング装置を用いてHMDSおよびポジ型フォトレジストを塗布し、高速マスクレス露光装置によってパターンを露光した。その後、レジスト現像装置によって現像した後、ドライエッチング装置を用いてウエハ上のパターン部のエッチングを行い、最後にレジストを剥離し、ダイヤモンドカッターにてカットして試料基板とした。 本研究では、ヘリングボーン型のテクスチャリングパターンを幾種類か用いた。コロイドプローブAFMを用いてパターン中央部をなぞることによって、その摩擦特性を評価した。なお、コロイドプローブには、直径約8umの金粒子を用いた。 コロイドプローブAFMを用いて摩擦係数を測定した結果、現時点では、テクスチャパターンの差異に伴う摩擦特性の違いは見られなかった。今後、テクスチャパターンや潤滑剤等を変更することにより、極限流体潤滑状態での摩擦特性がどのようなパラメータに影響を受けるのか、引き続き定量的な評価を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摩擦特性を把握する実験ではテクスチャパターンの差異に伴う結果の違いは見られなかったものの、京大ナノハブ拠点におけるテクスチャ創成法の習得やAFMによる摺動試験方法の確立など、実験に要する技術は十分に確立できたと考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
テクスチャパターン、潤滑剤の種類や粘度等をパラメータとして、極限流体潤滑状態での摩擦特性に差異が見られる条件を引き続き模索して行く。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの予算執行を行ったが、納品業者による値引きなどにより3万円弱の繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本繰越金は次年度の試料作成費に充てる予定である。
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