2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13861
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村井 祐一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80273001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 裕司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00419946)
大石 義彦 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90617078)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 風車 / PIV / 風力発電 / 自然エネルギー / 再生可能エネルギー / 流体計測 / 流体機械 / 環境流動場 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,風車まわりの三次元圧力場の計測試験題材として,計画書に記載した3つの流れ場の速度ベクトル場計測を実施した.一つ目は,2つのプロペラ風車が側方に近接配置する双発風車である.3次元データ取得のために単視点カラー3層PIV法を応用し,双発風車にみられる固有気流構造を定量計測した.この計測の過程で,風洞実験に適した新たなトレーサ画像解析法,バンドパスフィルタPIV法を開発した.これはスモーク状のトレーサ粒子画像をPIV解析相関サイズの波長のみを前処理段階で増強し,他の波長成分を削除するもので,この導入により高速気流で輝度レベルの小さい乱流条件でも,瞬時局所速度ベクトル場を立体計測空間全域で取得できるようになった.また双発風車の特性としてせん断層環境で後流速度欠損が縮小するという結果を発見した.二つ目はツイストサボニウス風車まわりの流れである.カラースモークワイヤ法による三次元剥離構造が可視化され,かつColor PTVの応用により後流に間欠的巻き上げ構造が発生することが見いだされた.このとき三次元圧力場計算を前提とした微積分可能な速度ベクトル場への変換スキームについて調査を行った.三つ目は回転ブレード表面における三次元表面流構造を調べるため,Body Fit PIVなる曲面適合照明法を開発した.これにより剥離域と付着域の共存条件ではブレード長軸方向に斜流が誘発されることが判明した.また渦輪をベンチマークとした速度場から圧力場の推定方法の検定を実施した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では三次元圧力場をPIVデータから精密に推定することを主題としている.その前提となるのはPIVの速度ベクトル生データの品質であって,圧力推定アルゴリズムの単調な比較調査ではない.すなわち実用的な圧力場計測を実現することを目的としている.それゆえ,三次元速度ベクトル場の高精度でかつ汎用的な機能をもたせた取得に優先度を設けている.H27年度は,そのために開発した2つの三次元PIV技術は,それを可能とするものであり順調に進展していると判断できる.このうちバンドパスフィルタPIVは風車など外部流の風洞実験のみならず自然気流での実験も可能であり実用性が高い.また複雑3次元形状に対応できるボディフィットPIVは,曲面を主体として構成される風車の表面剥離構造や境界層構造,ならびにその時空間的な変動性を捉える技術である.さらにColor PTV技術は,高レイノルズ数風車の3次元流れを水中で相似則により再現し,3次元渦放出を捉える技術として有用と自己評価する.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年7月に,米国サンタバーバラでPIVの最新技術を発表しあう国際会議が開催され,分担者の大石が本課題の成果を発表し,情報収集した.PIVの先端技術分野では3次元3成分の速度ベクトル場を取得するTomo PIVが市場を拡大さえている.これに対して圧力推定は以前として未解決であることが再認識された.平成28年7月にはレーザ流体計測国際会議(LISBON)が開催され,代表者が参加する.この国際会議のプログラムの1/3はPIVデータからの3次元圧力場の推定に関する世界の多くの研究者の発表から構成されており,本課題は産業と学術の両方を結合してPIVをさらなる付加価値の高いツールへと進化させる競争の中にある.このような中で,Color PIVやColor PTVは,単視点で3次元3成分の速度ベクトルを時間の関数として取得するものであり,Tomo PIVのように4~16台の高感度カメラを使う場合に比べて可視化空間の制約がなく,計測体積も最大で200mまで拡大できることから優位性を保っている.今後,風車のスケールにおける気流用の圧力場計測を実現する予定である.
|
Causes of Carryover |
気流用のトレーサ発生装置を自作する消耗品費が,学生による補助作業の効果により少なくて済んだため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本経費は,三次元照明を行うための高輝度カラー照明光源に充てる.
|
Research Products
(8 results)