2015 Fiscal Year Research-status Report
溶存気体効果を考慮した革新的キャビテーション相変化モデルの開発
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15K13863
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊賀 由佳 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (50375119)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キャビテーション / 相変化 / 溶存空気 / CFD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,流動による溶存気体の析出が相平衡圧力のずれに及ぼす影響を実験的に明らかにし,そこから,従来の飽和蒸気圧を基準とした相変化モデルとは異なるコンセプトの相変化モデルを開発することを目的としている.本年度は,まず,減圧沸騰実験を行い,流速が速いほど,また,溶存気体量が多いほど,相平衡のずれが大きいことを実験的に示した.次に,溶存気体析出の効果を考慮した数値解析を行った.数値解析は,溶存空気の質量保存の式に析出・溶解を考慮した解析と,均質媒体モデルではそもそも気液界面を解像できないため,析出・溶解を陽的に取り扱えないということを鑑み,溶存空気の析出を蒸発とあわせて1つの項で表現し,混合気体の質量保存式に適用した見かけの相平衡モデルによる解析を行った.流れ場は,時間平均揚力の数値予測が難しいとされる高迎角のNACA0015単独翼まわりの非定常キャビテーションとした. 溶存空気の析出・溶解を考慮した解析では,ヘンリーの法則に基づき,飽和度100%を超えた場合に析出するモデルと,飽和度100%以下でも流れ場所の局所的な力学的刺激により析出するモデルを考えた.いずれのモデルでも,翼中央付近から後縁にかけて実験値に近づく方向に圧力の低下がみられたが,不十分であった. 見掛けの相平衡モデルによる解析では,既存のモデルによる結果と比較して,翼中央付近から後縁にかけて圧力の低下が見られ,キャビティ体積,クラウドキャビティ放出の様相・周期が実験結果に近づいた.力学的刺激の乱れ成分としては,バロクリニックトルクによるモデルが比較的実験に近い結果を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
減圧沸騰実験として,空気・蒸気混合気体の絶対圧力を測定する実験装置の開発を当初一年時予定していたが,装置の製作が遅れたために,既存の非流動場と流動場での混合気体の差圧を測定する装置を用い実験を行った.しかし,その実験結果を元に,先行して数値解析モデルを構築し,数値解析モデルの比較検討は十分に行えた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,当初,初年度に予定していた空気・蒸気混合気体の絶対圧力を測定する実験装置の開発を行い,流動を伴う気液界面における減圧沸騰実験を行うことにより,経験的かつ定量的な溶存空気析出モデルの構築を行う.数値解析コードは先行して初年度に完成しているため,その,混合気体の質量保存則の生成項に析出モデルを適用し,高迎角のNACA0015単独翼まわりの非定常キャビテーションの体積を再現できる見掛けの相平衡モデルの完成を目指す.
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Causes of Carryover |
減圧沸騰実験として,流動を伴う気液界面における空気・蒸気混合気体の絶対圧力を測定する実験装置の開発を当初一年時予定していたが,装置の製作が遅れ,本年度は既存の非流動場と流動場での混合気体の差圧を測定する装置を用い実験を行ったために,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
技術的な問題はクリアしたので,次年度,当初予定していた実験装置の作成を行い,残額を使い切る.
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