2015 Fiscal Year Research-status Report
マイクロバブル内包ベシクルの超音波マニピュレーションに関する研究
Project/Area Number |
15K13865
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 周 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30272371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杵淵 郁也 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30456165)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 混相流 / マイクロバブル / ドラッグデリバリーシステム / 超音波 / ビヤクネス力 / 脂質膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マイクロバブルドラッグデリバリーシステムの開発と関係し、マイクロバブル内包型ベシクルの作成技術の確立と超音波音場によるベシクルの制御と破壊を目指している。平成27年度は、超音波音場によるマイクロバブルおよびマイクロバブルクラスターの制御技術を開発した。特に、従来の定在音場による制御方法ではなく、集束超音波による制御技術を中心に開発した。その結果、集束超音波の焦点にマイクロバブルを捕捉することに成功し、さらに焦点において多数のマイクロバブルを捕捉することによりマイクロバブルクラスターを形成することができること、このマイクロバブルクラスターのサイズには上限があり、最大サイズは照射する超音波の周波数で制御できることなどを示すことに成功した。ここで得られた実験結果を、個々の気泡の体積振動の固有振動数と気泡クラスターの固有振動数の関係に関するOmta(1987)の理論と比較した結果、気泡径と気泡クラスター径の比が、気泡の固有振動とクラスターの固有振動の比に反比例する関係については両者が定量的に良好な一致を示すことがわかった。一方、実験で利用されたマイクロバブルはシェルでコーティングされたものであり、シェルの効果を考慮していないOmata(1987)の理論に対し、反比例の関係を示す定数に違いが現れることを示した。すなわち、シェルでコーティングされたバブルでは、固有振動数が高くなる効果が現れることを実験的に示すことに成功した。 得られた成果は、体外から超音波を照射して、血流内を移動するマイクロバブルの位置を制御する技術に対して重要な知見を与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集束超音波を用いて、気泡の並進運動および気泡クラスターのサイズを制御する方法を開発し、実験により実証することに成功した。特に集束超音波によりマイクロバブルを捕捉する場合に、超音波の焦点で捕捉できる気泡クラスターサイズに上限があり、このサイズを超えると気泡クラスターにとって焦点は不安定位置となり、クラスターが逃避する現象の観測に成功した。また、このクラスターサイズの上限は、照射する集束超音波の周波数で制御できることを実験的に示した。 以上の技術は、平成28年度のベシクル内包型マイクロバブルの制御と破壊に向けて、重要な意味をもち、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度の成果を受けて、マイクロバブル内包ベシクルに対して集束超音波によりベシクルの位置制御および膜破壊を行うためのシステムを構築する。具体的には、マイクロチャネルで生成されたマイクロバブルを静置水和法により生成するベシクル内に内包し、多数のマイクロバブル内包ベシクルを生成する。さらに、小サイズのもののみを選択的に抽出するために、定在音場中における第一ビヤクネス力を利用する。選択的に抽出された5ミクロン以下の小サイズのマイクロバブル内包ベシクルを血管を模擬した流路内に流し、集束超音波による捕捉を行う。最後に捕捉されたベシクルに対し、別の超音波トランスデューサより、パルス的に強力集束超音波の照射を行い、ベシクル内気泡の並進運動によりベシクルの膜破壊を達成する。
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Research Products
(1 results)