2015 Fiscal Year Research-status Report
超薄型扁平多孔管を用いたエアコン用フィンレス熱交換器の研究開発
Project/Area Number |
15K13880
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飛原 英治 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (00156613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
党 超鋲 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30401227)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 熱交換器 / 冷凍空調機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
エアコンの熱交換器はこれまで直径6~8mmの銅管にアルミフィンを圧着したものが使用されていたが,一層の高効率化と冷媒封入量の削減を目指して,扁平多孔管を用いたオールアルミ製フィンレス熱交換器を開発する.最近,車のラジエタに用いられているサーペンタイン熱交換器をエアコン用に改良したオールアルミ製熱交換器が一部企業により製品化されたが,空気側フィンが凝縮水や着霜融解水の排水を妨げる問題があり,解決が困難であった.本研究では,扁平多孔管を極限まで薄くすることによって,扁平多孔管外部にフィンを挿入する必要のないフィンレス熱交換器を開発する.フィンがないことで凝縮水の排水問題は解決され,常に高性能な熱交換器として運転することができる.この新発想の熱交換器は,次世代熱交換器の主流になると期待している. 本研究では,厚さ1.6mm以下の薄い扁平多孔管を試作し,それをパラレルフロー熱交換器として成形し,オールアルミ製フィンレス熱交換器の開発を行った.薄型扁平多孔管の試作,管内流動・伝熱特性の測定を行った.多孔管内のチャンネル形状が蒸発熱伝達に及ぼす影響を実験により明らかにした。薄型扁平多孔管を用いた熱交換器の性能に関しては,伝熱性能の低い空気側の性能を向上させるために,熱交換器シミュレータを開発し,伝熱管幅の最適化,伝熱管ピッチの最適化,乱流促進体の試作を試みた.シミュレーションと試作を併用することにより,設計ツールの精度向上を図った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,扁平多孔管内の伝熱性能に関する研究,管外の空気側熱伝達の促進法に関する研究を実施した。管内熱伝達に関しては,3種類の形状の異なる扁平多孔管を準備して,細管部の形状の違いが熱伝達に与える影響を行い,適切な形状をおおよそ特定することができた。 管外の空気側熱伝達においては,フィンをなくすることにより伝熱面積が減り,伝熱抵抗の増加が予想される。このため,乱流促進体を付加して熱伝達を向上させなければならないが,圧力損失を増加させてはならない。このため,CFDソフトを利用して様々な乱流促進体の効果を検討し,有望と思えるものを試作して実験により効果を検証した。その結果,既存のチューブフィン熱交換器と同様の熱伝達と圧力損失を実現する乱流促進体を開発することに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は当初の予定通り以下の研究を推進する。実際のヒートポンプサイクルでは潤滑油が冷媒とともに流動する.潤滑油は冷媒に相溶性のあるものが選定されるが,蒸発器出口では液は潤滑油のみとなるので,流動抵抗が増加する恐れがあり,その特性を把握する. 熱交換器の気流側性能の実験を行う.実験条件として①乾き面伝熱,②濡れ面伝熱,③着霜時伝熱の試験を行い,凝縮水の排水や着霜時の圧力損失などに注意して測定する. 分配器に関しては,縦型熱交換器ではヘッダは水平に位置しているので分配において重力の影響が小さいが,横型熱交換器ではヘッダが垂直に位置しているので,重力の影響が著しい.これら重力の影響を観察しながら,分配器構造を検討する.
|