2016 Fiscal Year Research-status Report
予混合火炎における粒子状物質生成機構の解明と生成量低減
Project/Area Number |
15K13889
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北川 敏明 九州大学, 工学研究院, 教授 (40214788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 裕章 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60371598)
永野 幸秀 九州大学, 工学研究院, 助教 (20567060)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 燃焼 / 粒子状物質(PM) / すす生成機構 / 予混合火炎 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
予混合燃焼による粒子状物質(ParticulateMatter, PM)であるすすの生成に及ぼす火炎伸長の影響を明らかするために,均質過濃混合気の燃焼により生成される粒子状物質について調べた.実験ではイソオクタン-空気均質過濃予混合気を用い,すす生成の臨界当量比付近である当量比1.8の層流火炎の観察および火炎により生成される粒子状物質を捕集し観察した. 昨年度は層流火炎を対象とし,火炎の直接光写真および断層写真撮影を行った.火炎面には熱-拡散効果による不安定性からカスプが形成されており,そのカスプ先端から既燃部内に長く延びる黄赤色に発光するすじ状の領域が存在する.この領域はすすの固体輻射により発光しているものと考えられる. 今年度は乱流火炎を対象とし同様の観察を行った.乱流火炎の直接光写真においても,すすが形成されている黄赤色に発光するすじが観察されるが,乱れが強い方がその領域は小さいことが明らかとなった.また,燃焼室内より捕集した粒子状物質を走査透過型電子顕微鏡により観察した結果,乱流火炎においても要素粒子が鎖状となっている構造が観察された.層流火炎の場合と粒径分布の範囲は同様ながら,乱れが強い方が小さい粒子が多く存在する傾向にあることが明らかとなった. さらに,ルイス数が小さく火炎の不安定性強く現れる予混合層流火炎の数値シミュレーションを行い,火炎の不安定性の再現を行った.しかしながら,層流火炎における熱-拡散効果よるすす生成の解析には至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,すすの生成量低減に資するために,球状伝播層流および乱流予混合火炎により,火炎伸長とすすの生成の関係という新たな観点から,すすの生成機構を明らかにする.そして,その知見に基づきすすの生成量低減法を提案することを目的としている.本年度は,乱流火炎における乱れ強さにより,すすが生成される領域や生成されたすす粒子の粒径がどのように変化するかを明らかにした.また,昨年度の不安定性を有する層流火炎におけるすすの生成に関わる熱-拡散効果という物理的な観点からの知見をより一層解明すべく層流火炎の数値シミュレーションを行った.しかしながら,層流火炎における熱-拡散効果や乱れによるすす生成の詳細な検討には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度に得られた層流火炎の知見と合わせ,混合気の乱れ強さにより,すすが生成される領域や生成されたすす粒子の粒径がどのように変化するかを明らかにした.しかしながら,層流火炎における熱-拡散効果や乱れによるすす生成の詳細な検討には至っていない.より詳細な検討を行うためには,すす生成を予測可能な反応機構を用いた層流および乱流火炎の数値シミュレーションが有用であると考えている.すす生成のための精度を保ちつつも計算負荷低減のための反応機構簡略化を行いながら数値解析を行い,粒子状物質生成機構の解明と生成量低減についての検討を行う.
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