2015 Fiscal Year Research-status Report
多孔質内水平気液二相流における気泡立体構造の可視化
Project/Area Number |
15K13892
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
高津 康幸 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (00253550)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 多孔質 / 気液二相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の気液二相流の可視化では、透過光が用いられてきた。しかしながら、透過光による可視化では、定性的な流動パターンは大まかに確認できるものの、原理的に気泡の立体構造の情報が欠落するため、気泡の合体・分裂などの変形メカニズムの素過程の検証あるいは画像解析によるボイド率計測などは困難となる。そこで本研究では、次のような光の波長の違いを利用した気泡断面画像の可視化法を新たに提案し、実験的に未検証のままである多孔質内部における気泡の微視的挙動を明らかにしていく。 (1) 蛍光色素であるローダミンB を注入し、液相を蛍光できる状態にする。 (2) レーザーシート光(波長532 nm)を照射した場合、気液界面でハレーションは生じるものの、液相のみオレンジ色(波長は約590 nm)に蛍光することになる。 (3) シャープカットフィルター(例えば、560 nm 以下)を用いて、気泡部分の波長の光を遮光すれば、気泡幾何形状が抽出されることになる。 単一気泡の実験においては、気液界面での光の屈折(気液の屈折率の違い)および反射(臨界角)などの寄与について検討した。シート光入射面の気泡外周に相当する領域には筋模様が生じ、気液界面を判別可能となる。一方、シート光射出側では減光するため、気液界面の判別は困難となるものの、遮光領域の幅が気泡径と一致することより、気液界面を判別する際の一助となる。一方、アクリル円柱群を狭い隙間に千鳥配列することにより多孔質構造体を模擬した実験では、本可視化法を用いて低クオリティ領域での気泡形状が判別され、多孔質内気液二相流の内部流動状況を検証することが可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは、本研究で提案する“光の波長の違いを利用した気泡断面画像の可視化法”が、気泡断面幾何形状を抽出可能かどうかを検証する必要がある。本年度は、単一気泡の実験ならびに円柱群による多孔質構造体を模擬した実験を実施し、本可視化法が気泡の立体構造を明らかにする上で有効であることを示した。なお、当初の計画では、PET球殻を単一気泡に模擬することにしていたが、PETには厚みがあり固体部は蛍光しないため、気液界面の判別に影響を及ぼすことが明らかになった。そこで、径が比較的大きく真球度が高い気泡をするために、オリゴ糖内で気泡を発生させた。水の場合には、気泡上昇速度が大きく、上昇するにつれて気泡形状が変形してしまい真球度が保たれなくなるが、粘性の高いオリゴ糖では、上昇速度が小さいため真球度が良好であった。オリゴ糖を用いることにより表面張力大きさが変わるものの、気液界面での光の屈折および反射を原理的に検討する上で特に問題は生じないと考えられる。 単一気泡の実験方法に変更が生じたものの、研究目的を達成する上で、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、単一気泡の可視化実験から得られる知見を基に、多孔質内水平二相流の可視化画像から二値化処理などにより気相部分を抽出し、気泡の変形あるいは合体・分裂などの現象について検討していく。解析ソフトには画像処理のマクロ機能があるものを導入し、画像から気相面積(瞬間ボイド率)を算出し平均ボイド率を求めるとともに、瞬間ボイド率の時系列データのスペクトル解析により変動のモーメントについても検討していく。本手法は、気泡の変形過程が逐次把握できるため、多孔質内水平気液二相流のレオロジーに関して重要な知見が得られるものと考えられる。 本年度の実験により、レーザーシートは気泡透過後にレーザー強度が減衰するため、シート光射出側で気液界面を判別しにくくなるという問題が生じた。この対策として、2台のレーザーを両側から照射するなどの対策を講じる。また、クオリティが大きくなると流動パターンは大小の気泡が重なり合う気泡群となることが予想されるので、オリゴ糖内で気泡群を発生する実験を並行して実施し、レーザー光の挙動(透過・屈折・反射など)について検証していく。
|
Causes of Carryover |
消耗品を購入するにあたり少額の余りを生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品購入に充てる予定である。
|