2015 Fiscal Year Research-status Report
Research of Support Design for Compact Wheelchair with Structure Model Cylindrical Molding
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15K13901
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
竹澤 聡 北海道科学大学, 工学部, 教授 (70305902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春名 弘一 北海道科学大学, 保健医療学部, 講師 (00712168)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トラスコア / パネル折り / 折り紙 / 車椅子 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会的意義としては,利用者のみならず人口減少による介護や介助,者不足の解決誰もが直面する高齢化社会に求められる健康増進と自律支援に寄与することが挙げられる.障害者や高齢者のモビリティを向上させることは,自立生活の実現と社会参加の継続維持および推進など生活充実度(QOL)の改善にも結びつく. 工学的な意義としては,今回の研究開発で折紙式ハニカムコア製造法の具体的な加工方法を確認できたことにより,用途や意匠に合わせてさまざまな形状のハニカムコアを1点ずつオンデマンド製作する革新的なデジタル・ファブリケーションシステムの開発が可能となる. これによって形状の異なるさまざまな製品について安価な軽量化手段を提供することができるだけでなく,遮音・吸音,断熱性などハニカムコアの持つさまざまな優れた機能特性を広汎な製品へ利用できる可能性が広がる.また折紙式によって「端材ゼロ」で目的の形状を作り出せる点も従来技術にない注目すべき特徴である.製品そのものの軽量化と併せて,資源利用の大幅な効率化が可能となり,持続可能な社会の形成のための大きな武器となる. 工学的な発展性としては,ひとつの展開構造が2つの収納形状に対応できれば,この原理を逆に取ることで,展開構造①+展開構造②+収納構造という3形状に変形することで,歩脚機構を有する自律移動型のトランスフォーム型車椅子の設計も可能と考える. 自動運転社会と車椅子の共存時代を見据えた研究であり,もし成功すれば,身近な資源節約や軽量化,車両上部搭載装置設置は不要,車室内のみでの吊上げ・吊下げ技術とレール移動の複合的な機械技術の融合であることから他の機械工学の分野に応用が見込める.倫理的配慮は,被験者の情報保護および機構における落下防止用安全ネット装着義務の明文 化である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年4月~5月,科学研究費(課題番号15K13901)により既に研究が進み,任意断面を持つハニカムコアの展開図設計法(齊藤 2012)を参考に車椅子の展開図を設計し,コア形状の幾何学的関係から立体化可能な軽量化構造を明らかにした.その結果,与えられた断面形状が立体化不可能な場合,それが可能な形状へと近似的に修正するべき手法も明らかとなり,実機実験に取り掛かる段階に到達している. 2015年6月以降,折り紙構造について方眼紙等を用いて簡易サンプルを作成し理解を深めた.次に,車椅子モデルを作成し,その車椅子の基本構造となるフレームや本体に「中抜き構造」及び「折り紙構造」を利用することができないか考察し,その簡易モデル化を行った.年度末に,作成した車椅子の簡易モデルの性能評価を行った. 2015年10月には,日本機械学会スポーツヒューマンダイナミクス研究で車椅子の折り紙構造化と車載収納機構に向けた実験的研究についての研究成果を発表した. 2016年3月には,日本機械学会論文集に,「針灸技術修得を支援する教材の開発におけるバイアススプリング付きBMFアクチュエータの応用」にて原著論文が掲載された.本論文は本研究の伸縮駆動方式についての考察も網羅している. 今後の課題は,顕在化する問題点のひとつである,蛇腹折りを覆うように円筒ねじり折り等でサポートすることができれば,瓦礫,液体等の外乱から機構部を守ることができると考える.また,蛇腹折りの先端部やガイドレール部分に小型のモーター等を備え付け,その力を利用して蛇腹折りを稼働させることが出来れば,問題点の解決策に繋がると考える.さらには本研究の成果のひとつである中抜き構造のコンパクト化は,軽量化に繋げるだけでなく,素材の強度を考慮し,それ自体を折り紙構造に組み込むことが出来る可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
車椅子のコンパクト化については,従来の折り畳み可能な筒構造であれば,円筒や円錐といった「真っすぐな」筒の折り畳みしかなく,形状ヴァリエーションが少なかったため,応用先が限られていたがこの既成概念を払拭しつつある.産業化がなされれば,折紙とものづくりを融合させたスマート・ジャパン技術の一つとして世界をリードできると期待される.ハニカムコアは,曲面化が難しいのに対し,トラスコアはそれが可能であることから,トラスコア,インフレータブル型の高剛性軽量コア,展開収縮可能な円筒折りコア,円形膜折りコア,捩れ多面体コアの他,立体折り,剛体折りなどラインナップ化を図る計画である. 一方,折り紙構造を導入しても,それを動かす,或いは制御するモジュールがあってこそ初めてクローラーロボットに折り紙構造を導入するメリットもあるため,トランスォーム駆動系として当研究室で開発したバイアススプリング付きBMFアクチュエータを用いる.これにより車椅子構造を設計できれば,展開構造のみならず可変構造の設計や運用を革新的に進化させる可能性がある.また,今回の車椅子コンパクト化に連動させる提案装置は,2本のチェーンがジッパーのように噛み合い,1本の強固な柱状になり「押し・引き」ができる収納型チェーンである.<<搬送装置の具現化と立体強度の迅速検証>> CAD(Solid Workas)による搬送装置設計・アセンブリの事前検証を本学ロボティクス工房既存施設にて実施する.模擬車両室内に搬送機を設置・検証と安全性の確保を行う. <<実利用者への装置提供による実証試験>> 本研究で想定される実車内への収納性能を改善するために「安全性と機能性」重視のユニバーサルデザインの観点から評価および定量化を行う.研究協力者よりヒアリングを行う.
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Causes of Carryover |
今回の研究及び実験では,折り紙構造の理解を深め,その形状の算出方法を含め簡易サンプルを製作することはできたが,それを車椅子に対して本格的な導入する際,その可動方法や折り紙構造に使用する素材等の問題が多くあり2015年度検討を要した. 次年度使用額を活用して車椅子を円筒ねじり折りを含むコンパクト化を実証し,車椅子をに畳めるだけでなく,弾性力を持ち立体バネのように可動することを検討したい.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な消耗品,折り紙構造最適化素材,構造の展開および収縮のアクチュエータ 及び制御系設計電子部品の購入に充てたい.
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Research Products
(3 results)