2016 Fiscal Year Research-status Report
いつでも調整できる空転滑走再粘着制御系を有する安全な通勤電車
Project/Area Number |
15K13924
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (40185187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (70293248)
横倉 勇希 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (70622364)
宮崎 敏昌 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90321413)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気機器工学 / 制御工学 / 電力工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気鉄道を安全且つ快適に走行する技術開発は重要な課題である。本研究では、空転及び滑走時に、車両と動輪の間のすべり加速度の力学的最適値を求めてトルク制御する方式と、電気ブレーキ失効(電制失効)時のフラット(ロック)を防止する電空協調制御の滑走再粘着の方式を組合せて、専門の鉄道技術者が、新たな装置なしで、所望の応答を得るようにいつでも調整できる空転滑走再粘着制御系を開発する。 これまで通勤電車では、駆動制御の1 つとして空転滑走再粘着制御が実用化されてきた。電車は動輪とレール間に発生する接線力を介して駆動力を伝達する。しかし、空転や滑走が発生すると接線力が減少し、伝達される駆動力も小さくなり加減速性能が劣化する。さらに、大きな空転や滑走はレールや動輪に損傷を与えることもある。そこで速やかに空転および滑走を解消し、良好な加減速性能を得るために空転滑走再粘着制御が必要である。従来の空転滑走再粘着制御は、空転や滑走を検知しフィードフォワード制御を行うものである。そのため、路面状況等によって制御性能が異なり、空転を抑圧しきれない場合も存在する。それに対し、本研究では外乱オブザーバを用いたフィードバック制御による粘着制御を検討する。常に空転を抑圧し、接線力特性の傾きdτL/dvs を用いて接線力最大点の近傍を維持し続ける構成である。車両編成モデルによる数値シミュレーションと、模擬実験装置により有効性を確認する。 この制御方式は、車両と動輪の間のすべり加速度の力学的最適値を求めてトルク制御する方式と、電気ブレーキ失効(電制失効)時のフラット(ロック)を防止する電空協調制御の滑走再粘着の方式を組合せることと、等価になる制御方式になるので、専門の鉄道技術者であればいつでも調整できる空転滑走再粘着制御系となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、等価実験装置での模擬実験を実施して、提案法のすべり加速度に基づく空転滑走再粘着制御系の性能評価を、実際のインバータとモータ駆動で行うことになっている。本研究では、接線力特性の傾きdτL/dvs をフィードバックすることにより動作点を接線力最大点近傍に維持する粘着制御系を提案した。理想状態においてリアプノフ関数を適用し,安定なフィードバック制御系を構成し,動作点が接線力最大点に収束することを示した。シミュレーションと模擬実験装置により,提案法の動作を確認した。提案法は良好な粘着制御を行えており,常に接線力最大点近傍での動作を維持することが確認出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は実車両の走行試験を目指すことになっているので、試験車両への実装の準備と、検証結果の評価解析の準備を行う必要がある。そのために、模擬実験装置での種々の条件の空転時と滑走時の評価解析を行う予定である。また、リアプノフ関数を適用し,安定なフィードバック制御系の理論解析も十分に行う予定である。
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Research Products
(3 results)