2015 Fiscal Year Research-status Report
窒化物半導体周期的ナノ構造を基盤とした可視光応答型光触媒の開発と人工光合成応用
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15K13937
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (80149898)
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60212263)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 半導体物性 / 半導体超微細化 / ナノ材料 / 光物性 / 新エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、窒化物半導体多孔質構造の形成と形状制御に取り組み、その光学的特性を実験的・理論的に明らかにした。 1. GaN/電解液界面の分光電気化学特性を評価した結果、光透過率は内部電界強度の増加とともに減少し、高電界下ではバンド端吸収が長波長側(低エネルギー側)へシフトすることを見いだした。この特異的な分光特性は、無加工基板と比べて多孔質構造内部で強く発現し、Franz-Keldysh効果を取り入れた理論解析により矛盾無く説明できることを明らかにした。 2. 上記1.の知見をもとに、光支援電気化学エッチングによるGaN多孔質ナノ構造の形成条件を最適化した。基板の裏面から単一波長の光を照射することにより(裏面光照射法)、孔の深さを通過電荷量で線形的に制御することに成功した。さらに、薬液による異方性ウェットエッチングを組み合わせることで孔壁の精密制御を可能とし、試料表面の開口率と屈折率に強い相関があることを明らかにした。 3. 可視光を吸収する材料として酸化銅(Cu2O)をGaN基板表面に形成し、その光電気化学特性を明らかにした。電解液のpHおよび反応電流を制御することにより、GaN基板表面に均一なCu2O膜の形成を達成した。また分光測定から、堆積した酸化銅の光学バンドギャップは2.28 eVと見積もられ、可視光域における光吸収を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的としていた窒化物半導体多孔質構造の形状制御に成功し、研究成果の公表として、査読付き学術誌3編、国内外の学会12件の発表があり、当初の計画とおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成28年度)も事業交付申請時の研究計画に従って実施する。前年度までに得られた知見をもとに、多孔質構造内部の機能修飾と可視光応答電極の作製に取り組む。 (1) 多孔質構造内壁への可視光吸収材料堆積手法の確立 GaN多孔質構造を初期基板とし、孔内壁表面を可視光吸収材料で機能修飾する手法を開発する。酸化銅(Cu2O)を候補の1つとし、銅イオンを含む電解液中に多孔質構造を浸し、負の電圧を印加することにより金属イオンを還元し孔内壁表面へCu2O粒子を析出させる。一般的なスパッタ法などと比べて複雑な3次元ナノ構造に対しても被覆率が高く、孔の内部まで微粒子の埋め込みが期待できる。堆積にはパルス電圧法を採用し、Cu2O微粒子の寸法や密度の精密な制御を目指す。 (2) AlGaN多孔質構造の形成 二酸化炭素ガスの還元など広範囲の光合成応用を目指し、GaNよりもバンドギャップの広いAlGaNを使って多孔質構造を形成する。平成27年度に開発した光支援電気化学エッチングの条件を、AlGaNに最適化する。AlGaN層のAl組成と、得られる多孔質構造の形状および光学的特性の相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに予算を使用したが、消耗品購入の際の端数として128円余剰金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品の購入費用に加える。
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Research Products
(18 results)