2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Electrical Control of the Concentration of Oxygen Deficiency and Magnetic Anisotropy of the Magnetic Garnet
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15K13942
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
清水 大雅 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345170)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 電子・電気材料 / スピンエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は抵抗変化現象や磁気異方性を制御する対象となる磁性ガーネット薄膜の製膜条件と磁化特性の相関を明らかにし、また、4端子法によって抵抗率、ホール効果を測定し、製膜条件との関連性を明らかにした。磁性ガーネットの製膜条件と磁気異方性の関係を明らかにするために、単結晶のCe:YIG薄膜、YIG薄膜の磁化特性を測定した。試料の面内・垂直方向に磁場を印加させて磁化を測定した。スパッタ製膜時のO2流量比を0%で作製した試料は面内方向に磁界を印加した場合、1%で作製した試料と比較して小さな磁場印加にて磁化が立ち上がり、面内磁化膜であった。一方で成膜時のO2流量比1%で作製した試料は2つの磁化方向におけるヒステリシスの形状が類似し、磁気異方性が小さかった。磁気異方性の違いの一因として、 YIGの磁性を担うFeイオンの一部の価数が、酸素の欠損に伴って変化したことが考えられる。YIGの磁気モーメントは存在比の異なる4面体配置と8面体配置のFe3+の磁気モーメントの差し引きとなる。4面体配置のFeイオンよりエネルギー的に安定な8面体配置のFeイオンの一部の価数が3から2に変化し、YIGの磁気モーメントが増加したと考えられる。平成28年度までに観測した製膜時の酸素流量比の変化に伴うファラデー回転角の変化も、磁化の大きさに変化して生じたためと考えられる。 4端子法を用いて試料の電気的特性を評価した。YIG薄膜のHall電圧の磁場依存性を測定したところ、印加磁場の絶対値が5kG以上と大きくなるとホール抵抗が大きく減少するという現象が見られた。ホール抵抗の減少は同時に測定された抵抗の減少を伴うことがわかり、キャリア密度は7.5×10^21 /m3と推定された。今後、鉄イオンの価数を評価し、ホール効果の測定時に見られた抵抗率の変化の原因の考察と新規デバイスへの応用を目指す。
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