2015 Fiscal Year Research-status Report
異方性構造体と液晶弾性場の協奏によるメモリー性高速応答反射型ディスプレイ
Project/Area Number |
15K13950
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 雅則 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50204186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液晶 / 誘電異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、液晶性モノマーを光重合することによって、光学的・誘電的異方性を有する任意形状のマイクロ構造体を作製し、それを液晶配向場内においたときに期待される構造体自身の誘電異方性と構造体周囲の弾性場の協奏による電界応答挙動の解明を目的として下記の実験を行い成果を得た。まず、光重合性ネマチック液晶を用いて二光子励起直積描画法によりサイズ10ミクロン角から30ミクロン角の正方形構造体を作製した。この異方性構造体を一軸配向させたネマチック液晶セル中に導入し、面内電界を印加したときの静的および動的挙動を偏光顕微鏡を用いて観察した。電界を印加しない状態では、構造体内の分子配列方向とセル内の周囲液晶の配向方向が一致するように構造体が配列するが、電界を印加した場合、電界強度に依存して構造体の配列方向が連続的に回転することを確認した。構造体の誘電異方性に基づく静電エネルギーと周囲液晶の配向ベクトルひずみに基づく弾性エネルギーの両者を考慮したモデルを構築して実験結果の解析を行った結果、構造体の誘電異方性に基づくトルクが支配的となって構造体の配向方位が決定されることが見出された。また、大きさの異なる構造体を用いて、電界印加時および電界除去時の構造体の方位角の動特性を評価し、構造体の大きさが動的応答に寄与することを示し、サイズを小さくすることにより応答性が向上することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光重合性液晶を用いて異方性構造体を作製し、構造体の誘電異方性による配列変化と、周囲ネマチック液晶の弾性歪みの寄与による構造体の配列変化を実験的に明らかにし、実験結果と計算機シミュレーションとの比較を行うことにより、当初計画していたとおりの成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った計算機シミュレーションでは、セル厚方向の一次元方向のネマチック液晶の捻れ歪みのみを考慮していたが、より正確な議論のためには三次元的な液晶配向歪み場の効果を考える必要があるモノと考えられる。そこで、次年度では三次元に計算を拡張する。また、構造体の誘電異方性の寄与と周囲ネマチック液晶の歪み場の効果をより正確に議論するために、周波数によって誘電異方性の符号が反転する二周波駆動液晶を周囲の液晶として用いることにより、構造体の配列方向の印加電圧周波数依存性などの評価から検討を進める。
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Causes of Carryover |
本年度の研究計画は概ね予定通り進展したが、当初購入を予定していた電気光学効果測定に必要な一部の装置は平成27年度内に使用する必要がなかったため、備品購入費用が当初予定額を下回った。当該装置を用いた実験は平成28年度に入ってから実施する予定にしているので、平成28年度に購入する。また、関連して、上記装置を用いた実験の補助にかかる人件費も使用しなかったが、平成28年度に実験を実施するため執行予定としている
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、27年度中に予定していた電気光学効果の測定の一部を28年度初めに実施するため、それに必要な測定装置の一部を当初予定物品に加えて28年度に購入する。また、関連する実験を実施するにあたっての実験補助を必要とするため、当初予定していた実験補助人件費に加えて支出する予定である。
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