2015 Fiscal Year Research-status Report
ミニバンド制御した量子ドット超格子による中間バンド型太陽電池動作の顕在化
Project/Area Number |
15K13953
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
喜多 隆 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10221186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 幸弘 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10554355)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子ドット / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミニバンド制御した量子ドット超格子により電子の長寿命化を図り、高効率な中間バンド型太陽電池を実現する。基底準位と励起準位のミニバンド幅の違いを巧みに利用して、バンド幅の大きい励起準位ミニバンド(光吸収中間バンド)に励起したキャリアを効果的に空間分離し、正孔と空間分離した電子をミニバンド幅が小さくエネルギー分離した基底準位(光励起中間バンド)に分散エネルギー緩和させる。これによって効率のよい伝導バンドへの光励起を実現し、電流を増大させる。平成27年度は、分子線エピタキシーによりGaAs(001)基板上にInAs/GaAs量子ドットの超格子構造をi層に内包するp-i-n GaAs太陽電池構造を作製し、内部電界によるキャリア分離のダイナミックスとミニバンド幅の関係を明らかにした。具体的な成果は以下のとおりである。 (1)現有設備である分子線エピタキシーを用いて、GaAs(001)基板上にInAs/GaAs量子ドットの超格子構造を作製した。InAs量子ドット間に挿入するGaAs中間層の厚さによってドット間の電子的結合を精密に調整し、基底準位と励起準位のミニバンド幅を制御することに成功した。 (2)本研究の評価で使用したp-i-n GaAs太陽電池構造を試作した。(1)で明らかにしたInAs/GaAs量子ドットの超格子構造をi層に内包する。試作に当たっては、太陽電池構造シミュレータを用いた。 (3)超高速分光技術を駆使して、励起準位ミニバンド(光吸収中間バンド)と基底準位(光励起中間バンド)間のキャリアダイナミックスを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
量子ドット超格子の作製条件を理想的に予想していた以上に最適化することができたため、光物性において世界最高水準の超格子特性を引き出すことに成功した。これによって太陽電池特性に量子ドット超格子の特徴を顕在化させることができたため当初の計画以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、中間バンドから伝導バンドへのサブバンド間励起を選択的に行うため、近赤外光を追加して照射した外部量子効率スペクトルの測定を精密に行う。これによって、近赤外光の波長と強度の変化に対して、吸収端バンド間遷移近傍の外部量子効率スペクトルの変化を明らかにするとともに、電界によるキャリア分離の影響を明らかにする。また、変換効率を最大化する内部電界とキャリア引出効率の関係を明らかにし太陽電池構造を最適化して、電流整合が取れた中間バンドを介した光電流生成の最適条件を明らかにする。
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