2015 Fiscal Year Research-status Report
100Gb/s動作直接変調半導体レーザ光源実現へ向けた挑戦
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15K13961
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八坂 洋 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (50509099)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 半導体レーザ / 直接変調 / 共振器損失変調 / 光子共鳴効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
外部共振器を付与することで光子共鳴効果を導入したDFBレーザの、信号光注入による相互利得変調(XGM)動作時の帯域拡大実験において、3dB帯域59GHzを確認。(論文投稿中;IEEE JQE) 試作素子では、素子作製プロセスの都合上、外部共振器からの戻り光の位相と帰還光量を独立して制御できない構造であったため、当初の目標である70GHzは達成できなかった。両者を独立して制御可能な構造を導入することで、当初目標である帯域70GHzが達成できることを数値解析で明らかとした。 また、共振器損失変調を可能とする素子を試作することで、共振周波数以上の変調周波数帯域で変調感度劣化を抑制できることを実証した。(学会発表1,2、論文;APEX vol. 8, No. 8, 082701, 2015) しかし、共振状周波数における感度増加が激しく、デジタル信号による大振幅変調での光信号発生時に波形劣化等の問題が発生する可能性があることが明らかとなった。 この問題を解決するために、半導体レーザの共振器損失変調と注入電流変調を併用できるレーザ構造を新たに考案し、(特許出願) 両者を同時に作用するハイブリッド変調動作を適用することで、半導体レーザ直接変調時の応答特性制御を実現することに成功した。考案したレーザ素子では、レーザ共振器内に注入電流変調可能な利得領域と、共振器損失変調を可能とする損失変調領域を集積することで両者を同時に変調するハイブリッド変調動作を可能とした。数値解析より、共振状周波数以上の応答感度劣化を改善した状態で、共振状周波数での応答感度を低減できることを確認した。(学会発表3) また本設計による半導体レーザ素子を試作し、数値解析の結果通りの動作が実現できることを実証した。(学会発表4) 成果は国際会議にて招待講演予定で、(学会発表5) 学術誌への論文投稿を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
DFBレーザと外部共振器を集積した試作素子の信号光による相互利得変調動作特性の評価で、3dB帯域として59GHzを実測した。この値が当初目標の70GHzに届かない理由として、試作素子の外部共振器からの帰還光の強度と位相が独立に制御できないためであることを数値解析により明らかにし、目標達成のための素子構造を明確化できた。 また、当初計画では上記を達成目標とし、RF信号で動作可能な超高速直接変調レーザの構造設計を並行して進める計画となっていたが、共振器損失変調を可能とするレーザ素子の試作・評価を計画に先行して進め、問題点の抽出、解決策の提案およびその実証まで進めることができた。 具体的には、共振器損失をRF信号で変調可能なレーザ素子の設計・試作を進めた。素子特性評価を通して、数値解析通りに共振状周波数以上の帯域で応答感度の低下を抑制できることを明らかにした。本検討から、共振器損失変調機構の導入のみでは共振状周波数での応答感度が高くなりすぎるため、このままでは光デジタル信号発生には適用が難しいことが判明した。 本問題を解決するために、共振器損失変調と注入電流変調を併用するハイブリッド変調機構を導入した半導体レーザを新たに考案し、数値解析および試作素子の応答特性評価を通して、考案した機構が応答感度の制御に有効であることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに考案した、共振器損失変調と注入電流変調を併用したハイブリッド変調レーザ構造を導入することで、半導体レーザの共振状周波数以上の周波数領域での応答感度劣化を抑制し、共振周波数での感度増大を低減することが可能となることを明らかにできたことから、今後は、ハイブリッド変調機構を導入した半導体レーザの動作特性の詳細評価を進めるとともに、本半導体レーザ素子に外部共振器を集積することで光子共鳴効果を導入し、RF信号で動作可能な超高速直接変調半導体レーザの実現を目指す。
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Research Products
(8 results)