2016 Fiscal Year Research-status Report
小型超音波診断装置のための2共振超音波振動子と革新的送受信法の開発
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15K13995
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| Research Institution | University of Toyama |
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Principal Investigator |
長谷川 英之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (00344698)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 超音波 / 小型診断装置 / 超音波振動子 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
(1) 送信超音波ビーム制御方法および受信ビームフォーミング法の開発
前年度において，幅の広い超音波振動子を少数用いてイメージングを行う場合，グレーティングローブの発生が問題になることが判明した．本年度は，グレーティングローブを抑圧する超音波送信方法に関する検討を行った．計算機シミュレーションによる検討において，超音波振動子を励振する正弦波バースト波形において，一部の正弦波の極性を反転させることにより，グレーティングローブを抑圧できることを明らかにした．
また，振動子数が少なくなると開口幅が小さくなり，方位分解能の劣化を招くことから，受信ビームフォーミングにおいて方位分解能を向上させる手法について検討を行った．超音波振動子の各素子で受信した信号を用いてビームフォーミングを行う際，受信焦点からの信号は位相の分散が小さいのに対し，焦点外からの信号は位相の分散が大きいことに着目し，受信信号の位相分散をもとに不要信号を抑圧するとともに，方位分解能を向上させる手法を開発した．提案手法の計算量は小さいため，ハードウエアの規模が小さい携帯型超音波診断装置に適した手法である．
(2) 積層型超音波振動子を用いた超音波送受信制御ソフトウエアの開発および送受信試験
既設の超音波送受信システムを用いて，前年度に開発した積層型超音波振動子から超音波を送受信するための制御用ソフトウエアの開発を行った．通常の超音波診断装置で用いられる振動子の電極数は2であるが，本積層型振動子は3つの電極により積層した2枚の振動子全体で駆動する場合と1枚のみ駆動する場合を制御する．開発した制御ソフトウエアを用いて，点ターゲットを対象とした積層振動子による超音波送受信実験を行い，積層した2枚の振動子全体で駆動する場合，1枚のみ駆動する場合，いずれにおいても超音波を送受信できることを確認した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
携帯用超音波の小規模な配列型超音波振動子を用いた場合，方位分解能の劣化が問題となるため，当初計画では方位分解能向上手法を検討する予定であった．本年度はその計画に沿い，超音波振動子で受信した信号の位相分散を用いて不要信号を抑圧する手法に関する検討を行い，小規模アレイを用いた場合にも方位分解能を改善できることを示した．それに加え，送信波形を変調することにより送信音場におけるグレーティングローブを抑圧する手法も開発することに成功しており，当初の計画以上に進展している．
また，積層型超音波振動子についても，当初計画では本年度に製作を行う予定であったが，既に製作を終えており，本年度は超音波送受信システムとの接続および従来と異なり3つの電極を有する積層型振動子を用いて超音波を送受信するための制御用ソフトウエアを開発した．これら送受信系を用いて，積層した2枚の振動子全体で駆動する場合と1枚のみ駆動する場合のいずれにおいても超音波を送受信できることを確認していることから，当初の計画以上に進展していると言える．
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| Strategy for Future Research Activity |
(1) 積層型超音波振動子の性能評価
前年度までに開発した製作した積層型超音波振動子と超音波送受信システムを用いて，点ターゲットに対して超音波を送受信して超音波エコー信号を計測する．低周波駆動(2相全体を駆動)と高周波駆動(1層のみ駆動)の両方について計測を行い，所望の周波数の超音波が送受信されていることを確認する．また，計測した超音波信号を周波数解析し，低周波駆動と高周波駆動の両方について，受信した超音波の帯域幅を評価する．
(2) 超音波画像評価用ファントムを用いた空間分解能・コントラストの評価
超音波画像評価用ファントムに対して，開発した送信音場制御法を用いて超音波を照射した際のファントムからの反射・散乱超音波を記録する．本研究では，製作した1つの積層型超音波振動子の位置を変えながら超音波を送受信することにより，アレイ振動子で超音波送受信を行った際と同等のデータを得る．そのようにして超音波画像評価用ファントムに対して超音波を送受信し，記録した受信超音波信号に開発した受信ビームフォーミング手法を適用して超音波断層像の構築を行う．得られた超音波断層像の空間分解能およびコントラストを評価し，開発した送受信音場制御法により従来法に比べグレーティングローブなどの不要成分が抑圧されていることを確認する．画質評価を低周波駆動と高周波駆動の両方について行い，従来の携帯型超音波診断装置のように低周波超音波のみで全領域を画像化する際に比べ，近距離領域の描出能が向上していることを示す．さらに，送信を低周波，受信を高周波で行う高調波イメージングについても評価を行い，空間分解能・コントラストが向上することを示す．
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