2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K13996
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 洋介 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20283343)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 振動変位計測 / 光計測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高速マイクロマシンや超音波デバイスが目覚ましい発展を遂げている。これらの中には基本振動数が100MHzにもおよび、振動変位振幅は数10nm~数100nmに達しているものがある。その一方で高速な振動変位の精密測定技術が、十分には追いついていない。そこで本研究では、基本振動100MHz、変位振幅数10nm~数100nmの高速振動の精密変位測定を目標とした。 本研究で提案した手法は、高速な位相変調をかけたレーザ光を利用した干渉計測で、繰り返し測定をすることなく、一回で高速な変位を精密測定する技術である。当初、三角波位相変調による精密測定を考えていたが、検討の結果、正弦波位相変調光を用いた手法でも信号処理の工夫により、測定精度をあまり落とすことなく高速変位の測定が可能なことが分かってきた。これにより、位相変調光の生成が大幅に簡素化されることとなった。そこで、三角波位相変調光を利用したMHzオーダーまでの非常に精密な変位測定と、正弦波位相変調光による100MHzオーダーに達する振動変位測定の両面から検討を進めることにした。 平成27年度は、三角波位相変調を利用した手法において、キャリブレーションフリーで精密測定が可能な技術を開発した。同時に、干渉計の安定化制御により、光路長のドリフトを抑圧し長時間測定を実現した。また、正弦波位相変調を利用した手法では、10MHzを超える振動変位の精密測定まで達成した。いずれの手法でも当初の目標である変位分解能1nmを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三角波位相変調光を利用した高速振動変位の精密測定について、原理確認ができた。更に、同等の光学系で信号処理を用いたシステムで、正弦波による位相変調光を利用した場合も、精度をほとんど落とすことなく、振動変位測定が可能なことがわかった。これにより、複雑な制御系を用いることなく、これまでの手法では難しかったより高速な振動変位の精密測定が可能となった。これらの成果を基に、次年度以降、更に高速な振動変位の精密測定について検討を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の検討で、提案する計測システムの原理について、有効性が概ね確認できた。次年度は、更なる高速化を目指してシステムの検討を進める。ハードウェア面だけでなく、信号処理面についても、検討を重ね、高速現象についてのデータについてより高精度で解析可能なようにする。
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Causes of Carryover |
本研究で検討するシステムにおいて、当初購入を検討していた高速デジタイザと同等の機能を有する高速オシロスコープをより安価に購入できたため、初年度の予算を予定よりも抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額については今年度と合算しつつ、変位測定システム光学系を改善するための光学部品、および制御系のための電子部品、成果発表費を中心に使用する計画である。
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