2016 Fiscal Year Research-status Report
近似模倣と近似交替模倣に基づく組込み制御システムのロバストスーパバイザ理論の創成
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15K14007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
潮 俊光 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30184998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | システム制御工学 / 組込み制御 / 形式的手法 / 模倣関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
計算機を用いた組込み制御システムの形式的設計法は,最近世界的に注目される研究テーマとなっており,状態フィードバック制御,ネットワーク化制御などへの応用が期待されている.形式的設計法において重要な課題は,制御対象を抽象化した遷移システムを基に設計されたシンボリック制御器によって,望ましい振る舞いに対してどの程度の安定性を保証しているかである.この問題を解決するために,近似模倣,近似交替模倣と呼ばれるシステム間の2項関係を用いるアプローチがある.望ましい振る舞いを記述する遷移システムと閉ループシステムの振る舞いとの間にこのような関係があれば,一種のinput-to-state 安定が成り立つ.出力フィードバックシステムと入力遅れのあるシステムに対して,このような関係を持つような制御器を設計する方法の効率化を実現した. 昨年度に提案した出力フィードバックによるシンボリック制御器の構成法では,シンボリック観測器に用いる抽象化状態集合と制御のために用いる抽象化状態集合が異なっていた.そのために,いくつかの制約をシステムに課していた.共通の抽象化状態集合を用いて出力フィードバック制御器を構成する方法を提案した.昨年度に開発した設計法で必要としたいくつかの仮定を取り除くことができた. シンボリック制御器の入力が制御対象に入力されるまでに遅れがある場合を考えた.この遅れを待ち行列で表現して,制御対象の抽象化を行い,観測された出力から遅れ時間後の状態を予測して,制御入力を決定する抽象化スミス法を昨年度提案したが,その設計手順において無駄な操作をなくし,設計されるスミス制御器の簡素化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度提案した設計法には,いくつかの短所があった.それを改善し,出力フィードバック制御,およびスミス制御の形式的設計法の効率化を達成した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,最終年度になるので,今までの研究成果をまとめて,論文として公表する.また,近似双模倣関係の新しい応用として,人間機械系においてモードコンフュージョンの発生を検出する方法を開発する.特に,時間的な情報によって発生するモードコンフュージョンの検出を実現する.
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Causes of Carryover |
研究に必要な専門書の購入経費が予算より下回ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議IFAC World Congress(フランス)で研究成果を発表する.また,国内の研究会・学会でも研究成果を発表する.そのための旅費と参加費に充てる.学術雑誌に掲載予定の論文の掲載料・別刷り代,及び専門書をの購入経費に充てる.
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Research Products
(2 results)