2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 研至 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90224716)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土木材料 / フライアッシュ / ポゾラン活性 / アルカリ刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
担持アルカリによるフライアッシュのポゾラン反応の活性化ならびにその継続性に関して詳細な検討を行うため,アルカリを担持する廃瓦粗骨材がコンクリート中に存在することを模擬する,以下の2つの方法を用いた実験を実施した.一つは,硬化セメントペースト内に,あらかじめ挿入したシリンジを通じてアルカリ溶液を供給する方法であり,もう一つは,セメントペースト内に,アルカリを担持させた1個の廃瓦粗骨材を静置する方法である.フライアッシュの置換率は0,20,40%とし,アルカリ溶液には0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液,飽和カルシウム溶液を用い,比較用として純水も使用した.また,前者の方法では,アルカリ溶液の供給開始時期を材齢1か月または3か月とした.その結果,前者の方法を用いた実験から,アルカリ溶液の供給により硬化セメントペースト中の水酸化カルシウム量の減少ならびに水酸化カルシウム消費量の増加が認められ,また,細孔径分布においても粗大な細孔が減少し微細な細孔が増加したことより,アルカリの供給によりポゾラン反応が促進されていることが確認された.なお,アルカリ溶液としては,0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液よりも飽和カルシウム溶液を用いた場合の方がより効果的な結果となった.一方,後者の方法を用いた実験では,アルカリ担持させた廃瓦粗骨材近傍の微小硬度を測定したが,水を担持させた場合よりもアルカリを担持させた場合の方が遷移帯領域の微小硬度が増加する結果が一部では見られたものの,概してはほぼ同一の微小硬度を示す結果となった.アルカリが供給されることによるポゾラン反応の促進効果よりも,水あるいは溶液中の水分の供給による内部養生としての効果が卓越して表れたことが原因とも考えられ,この点に関しては,より詳細に今後検討を要する結果となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フレッシュ時の担持アルカリの保持性に関する検討では,測定結果の誤差が大きく実験方法の再検討を要する結果となったが,担持アルカリによるポゾラン反応の継続性に関する検討,セメント硬化体と廃瓦骨材界面の微細構造に関する検討では,有用な実験結果が得られており,全般的に研究はおおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
フレッシュ時の担持アルカリの保持性に関する実験方法の再検討を早急に進めるとともに,アルカリ担持させた廃瓦粗骨材を使用したコンクリートによるポゾラン反応促進効果の実験的検討を行っていく.これらの結果を取りまとめ,研究を総括する.
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