2015 Fiscal Year Research-status Report
森林~河川~海域を一貫した流域圏の流木発生ポテンシャルによる災害リスク評価
Project/Area Number |
15K14042
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢野 真一郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80274489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠間 清伸 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10315111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流木 / 水害 / 流域 / 災害リスク / 橋梁 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去に発生した大規模な河川災害において橋梁への集積による氾濫の助長や橋梁の破壊など被災リスクを著しく増大させてきた流木に関して,対象河川の上流から河口域,ならびに海域(またはダム湖)までを一貫して包含した流域圏における土砂崩壊や河畔林などの流木発生ポテンシャル評価に基づき,河川洪水・橋梁などの河川構造物などの影響を総合的に評価した包括的な流木災害リスク評価手法の基盤開発を試みた.平成27年度は最大可能流木発生量に相当する流木発生ポテンシャルの概念を提案し,それに基づく河川流域内の任意地点における流木発生ポテンシャルを評価する手法を開発した. 2012年7月の九州北部豪雨で被災した一級河川である筑後川支川の花月川(大分県日田市)と山国川(大分県中津市)を対象にした調査研究を実施し,各流域に対する流木発生ポテンシャルの定量評価を試みた.さらに,河川上の全橋梁に関して,流木発生ポテンシャルから橋梁への流木集積可能性を評価し,流木災害リスクを定量的に評価する手法を開発した.特に山国川については,花月川と比べて流域規模が大きいだけでなく,数多くの砂防ダムの存在,大ダムである耶馬溪ダムの存在,歴史的価値の高い石橋群や沈下橋の存在,など多くの特有の特徴をもっており,それらの影響の流木リスク評価手法への組み込みが課題であったが,本研究によりモデル化を行い定量的に評価可能な手法が開発できた. 本手法の開発により流域圏全体の流木リスク評価が初めて可能になり,将来の河川・都市・道路計画の支援ツールとしての活用や洪水ハザードマップに流木の影響を取り入れるなど,より安全な防災・減災計画への活用が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は2つの一級河川(花月川と山国川)を対象とした流木発生ポテンシャル評価と河道上の全橋梁における流木集積リスク評価を行い,両評価手法のプロトタイプとなるモデルの完成に至ったと考えている.よって,研究計画上に記した河川とは異なる河川を対象として調査研究を行ったが,予定した内容は概ね完了できた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成28年度には,流木の発生源となる斜面の地盤特性に基づく流木発生確率や,降雨パターンによる発生量変化を評価できるモデルのプロトタイプの完成を目指す.また,対象流域を矢部川や球磨川を加え,各河川特有の特徴を考慮できるモデルへのバージョンアップを試みる.また,前年度の組み込んだ砂防ダムの影響については,砂防ダムの滞砂状態の情報を組み入れたリアルタイムでの評価が可能となるようなバージョンアップを行い,将来の温暖化への適応策の一つのメニューとして提示できるような技術の開発に繋げたい.
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Causes of Carryover |
必要なデータの取得に関して行った調査について,対象河川を変更したために旅費の執行が予定額に達しなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となる平成28年度において実施する調査において余剰分の旅費を使用する予定である.
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Research Products
(4 results)