2015 Fiscal Year Research-status Report
経済交易・物資流動データおよび企業間取引データの整合性・補完性およびその統合化
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15K14048
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小池 淳司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60262747)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済交易データ / 物資流動データ / 企業ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国には,商品流調査による地域間産業連関表,全国貨物流動調査(物流センサス),貨物・旅客地域流動調査などが行政による統計として公表されている.一方で民間信用調査会社による企業間取引データ(企業ビックデータ)の整備・公表の準備が進み,学術レベルでの利用が可能となってきている.本来,地域間取引に関するこれらのビックデータは同じものを違う角度・集権単位で計測しているにすぎず,あるデータから別のデータを類推することも可能なはずである.本研究課題は,これら4種類の計測目的・手法の異なるデータの整合性・補完性を確認し,それらを統合化するフレームの構築を試みる.初年度に当たる本年度は,各種データを比較的大きな地域,産業分類で集計し,それぞれの相関関係を確認するとともに,各種データソースが持つ特徴をまとめた.また,交易および物流には純流動と総流動という定義の違いがあり,それぞれを整合的に推計可能なモデルを構築した.その成果は「物流拠点を経由する都市間物流モデルの構築」土木学会論文集D3(土木計画学)として,公表した.また,オランダ,ドイツの同様のデータを用いて解析を行い,その特徴をまとめるに至っている.また,データが十分に整備されていない地域のデータ補完性に関しては,「Socioeconomic Evaluation of Transit Oriented Development using by Detailed Spatial Scale CUE Model in Taiwan」と題し,国際会議(The 11th EASTS Conference in Cebu, 2015)にて公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究推進に際して,当初予定した通りに順調に進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は2年間を予定し,本年度は最終年度にあたる.昨年度は,地域間産業連関表,全国貨物流動調査,企業間取引データの整備特性および,それを相関分析することで,各データの整合性の確認を行った.本年度は,さらに物流の純流動と総流動の整合性を確保するための確率モデルの構築を試み,それぞれのデータ(産業連関表と物資流動調査)の補完可能性を検討する.また,昨年度の研究成果を含め,各種データの整合性および補完性をまとめ,今後,どのようなデータで整備により,どのようなデータが推定可能なのかを検討することで,より効率的な交易・物流データのありかたに関しての検討を行う.また,初年度の成果を取りまとめ,欧州各国と比較する試みを実施する.その成果は,7月に開催される国際会議(WCTR)にて,「Approaches for Modeling of Distribution Centers in Freight Transport Models」と題し,国際共著論文として公表を予定している.さらに,各種データの補完性を検討することで,効率的な社会経済データの整備方法について提案することを予定している.具体的には,本研究の成果をもとに,OECDなどの欧州におけるこの分野の専門家と協議のうえ,各国での社会経済データの整備状況の確認および日本のデータの特徴を整理しすることで,各種分析に最適なデータ整備のあり方について言及し,途上国におけるデータ整備の方針に関しても取りまとめる予定である.
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Causes of Carryover |
打合せ旅費として計上していたものに対して,他予算での支出が可能だったものがあり,経費の節約が可能であった.また,本年度購入予定の機材を来年度購入する予定であるため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の旅費は,今年度追加的に研究打合せを実施する費用として支出する予定である.また,機材を今年度購入する.
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