2015 Fiscal Year Research-status Report
分離膜のどこでファウリングが生じているのか:安定同位体顕微鏡による解明
Project/Area Number |
15K14053
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松井 佳彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00173790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白崎 伸隆 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60604692)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境技術 / 環境材料 / 土木・環境システム / 反応・分離工学 / 水資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,高分子重合度を調整した新規な高塩基度ポリ塩化アルミニウム凝集剤が発現する膜ファウリング抑制のメカニズムを,安定同位元素電子顕微鏡イメージング技術を用いて解明することにある.本年度は,安定同位体として重水素を標識ラベルした水酸化ナトリウムと塩化アルミニウムを用いて,高温条件で中和法によって塩基度50%(硫酸無し)のポリ塩化アルミニウム凝集剤の作成を試みた.さらに,この凝集剤を用いて,豊平川河川水の凝集処理(凝集剤注入率: 0.53 mg-Al/L,急速攪拌:135 rpmで1 min,緩速攪拌:29 rpmで10 min)を行い,凝集水を,逆洗浄間隔4時間,逆洗浄圧力150 kPa,逆洗浄時間10 s,ろ過速度 3 m/日の条件で膜ろ過を行った.膜間差圧が8 kPaからろ過時間12時間に45 kPaに上昇したので,膜ろ過を終了し,ファウリングした膜を取り出した.同位体顕微鏡システムを用いて,このファウリング膜の表面および分離膜横断方向の水素と重水素の分布の観察を試みたが,どの場合も自然の同位体比以上の比率の重水素は検出されなかった.いくつかの原因が考えられるため,次年度はこれらについて検討して行くこととした.一方,どの部分でファウリングが進行しているかを検討するための別法として,プレッシャーホールド法,綿棒洗浄法などを工夫し,膜表面,膜内部の分離層,支持層を分けて洗浄し,洗浄廃液を分析した.その結果,膜表面と膜内部の分離層にアルミニウムが蓄積し,膜ろ過性を低下させていることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同位体標識したポリ塩化アルミニウムの調整方法などを試行錯誤,調整した,凝集膜ろ過実験を行い,観察を行った.さらに,プレッシャーホールド法などにより膜のファウリン状態の検討も並行して行っており,研究はおおむね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
凝集剤作成方法,保存方法,凝集フロック中の重水素同位体比なども検討し,ファウリング膜で重水素は検出されなかった原因を検討して行く.また,水酸化アルミニウム溶解法によっても標識ラベルした凝集剤が作成できないか検討をすすめる.
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Causes of Carryover |
学内共通機器使用が次年度4月にずれ込んだためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学内共通機器使用として使用予定である.
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