2015 Fiscal Year Research-status Report
未知反応「嫌気的硫黄酸化」のメカニズム解明とリアクター内での反応制御への挑戦
Project/Area Number |
15K14057
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山口 隆司 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10280447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡本 将史 長岡技術科学大学, その他部局等, 准教授 (20524185)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嫌気的硫黄酸化 / 排水処理リアクター / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らの研究グループが初めて発見した新規な硫黄の反応である「嫌気的硫黄酸化反応」について、その反応機構の解明のために反応に関与する微生物の特定を行い、さらに分離培養を試みる。また、この新規な硫黄代謝反応の役割の解明およびリアクター内での制御を目指す。本年度は、ラボスケールのリアクターを複数設計・構築した。そして、これまでの研究で見出された嫌気的硫黄酸化反応が発生した条件を参考に、5本のラボスケールリアクターを同時に運転し、嫌気的硫黄酸化反応が起こり得るか再現性を評価した。流入基質には嫌気的硫黄酸化反応が確認されている乳酸を用いて実施した。流入基質のORPは-50~+100 mVであり、リアクターの流出水は-230±30 mVであった。これまでに、嫌気的硫黄酸化反応が起きているORPに制御できた。それらリアクターにおいて、硫化物、硫酸塩濃度をリアクター高さ方向で分析をしたところ、リアクター下部で硫酸塩還元反応が起こり、リアクター中部で硫黄酸化反応が進行した。下水処理UASBリアクターで確認された嫌気的硫黄酸化反応とフィッティングを行ったところ、ほぼ同じ挙動を示した。実験に用いたリアクター5本全てで、その反応を確認できており、下水処理UASBリアクターで確認されている嫌気的硫黄酸化反応を再現することができた。また、リアクター汚泥を採取して、次世代シークエンサーを用いた微生物解析も実施したが、微生物の特定には至らなかった。反応を担う微生物を特定するために、安定同位体解析、分離・培養、ゲノム解析などの実施が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従って、ラボスケールリアクターを構築し、連続運転を行って、データを取得した。下水処理UASBリアクターで確認されている嫌気的硫黄酸化反応をラボスケールリアクターで再現することができた。そのため、研究全体としては、概ね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
反応を担う微生物を特定するために、次世代シークエンサーを用いた微生物解析、安定同位体解析、分離・培養、ゲノム解析などを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
安定同位体解析、ゲノム解析に使用する試薬や分析装置を購入する予定であったが、リアクターの運転が年度末に安定してきたため購入が遅れた。年度末に購入を検討したが、今年度中に試薬や分析装置の納品ができなかったため、次年度に助成金を繰り越し、納品することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究課題に対する予算計画の変更はなく、繰越金で、安定同位体解析、分離・培養、ゲノム解析に関連する試薬や分析装置を購入する予定である。
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