2015 Fiscal Year Research-status Report
通電による排水処理生物反応槽の生物叢制御と廃水処理システム構築への適用
Project/Area Number |
15K14058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 文武 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 平 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30346093)
楠田 育成 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (60649200)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微生物燃料電池 / 下水汚泥 / リアルタイム状況把握 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物燃料電池反応を生物反応器の内部状況把握ならびに電気による制御用として活用する新規制御システムの開発に関する基礎的検討を実施する。今年度は微生物燃料電池反応を汚泥処理へ適用することを試みて、下水汚泥(返送汚泥)を有機物基質とした反応器の作成と基礎的反応特性の把握を行った。反応器には面状に編み込んだ炭素繊維をカソード、アノード両電極に活用して、リアクター底部は汚泥層としてそこにアノードを設置し、一方で上部はカソードとして水面上部から酸素供給を行うことで酸化反応を行わせるものである。反応器底部のアノード近傍においては、攪拌機を設置して、アノードへの物質(有機物)供給が拡散律速などとならないように適度な表面流速を生じさせて運転を行った。下水汚泥を対象とした場合には約二週間程度で反応が活発化すること、その後一か月程度は継続して安定的に発電現象が観察されることを確認した。また、より濃度の濃い汚泥(濃縮汚泥、脱水汚泥)への適用を試みた小規模反応器も設置して、汚泥の分解特性をリアルタイムで把握できる微生物燃料電池反応器も設定して運転を行い、発電状況について把握した。室温における運転においては、湿潤状況下で反応が継続すること、湿潤状況を維持することがまずは必要であること、発電量は汚泥が有する化学的エネルギー(例えばメタン発酵を行い、その燃焼等により得られるエネルギー)と比較してごく一部の量に過ぎないことを定量的に示した。一方でこのことは少しの内部エネルギーの活用で反応器内の微生物反応特性を把握できることを意味しており、微生物燃料電池のエネルギー回収ではない特性活用(リアクターの状況把握と制御への適用)に有効であることを示唆するものであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下水汚泥を対象とした反応器の運転を開始し、その基礎的な生物反応(微生物燃料電池反応)について知見を得た。再現性を確認しており、応用研究に向けた基礎的環境を整備した。具体的な操作とその反応を確認する段階に現時点では移行できているものの、年度内での実施までには至らなかったため、区分判定としてはやや遅れているとの判断をしたが、回復は可能であるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
生物反応器を複数基運転して、生物内部反応のリアルタイム状況把握と、生物反応への阻害物質流入時への応答確認、通電を強制的に実施した時の応答についての詳細かつ多ケースでの実験を通じた知見収集・整理を予定通り実施する。また菌叢解析も併せて実施し、長期間運転での菌叢形成についても調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究は予定通り実施しており、また情報収集等に係る経費もほぼ予定通り実施している。ただし、予定謝金を支払うまでの学生等による補助等の実施には至らなかったため、その分の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度への繰り越しを行い、次年度に併せて使用する。
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