2015 Fiscal Year Research-status Report
岩石中の粘土鉱物の層状構造変化に基づくコンクリート用骨材の乾燥収縮低減への挑戦
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15K14061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 豪 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10733107)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨材 / 体積変化 / 湿度 / 粘土鉱物 / 膨潤 / 乾燥収縮 / 拡張BET理論 / トバモライト |
Outline of Annual Research Achievements |
粘土鉱物の層状構造変化に着目して,コンクリートの大部分を構成する骨材(岩石)の乾燥収縮メカニズムの解明にチャレンジし,骨材(岩石)の乾燥収縮の制御による低収縮コンクリートの実用化のために,粘土鉱物の層状構造変化による乾燥収縮メカニズムに基づく骨材の低収縮化へのアプローチを検討している。今年度は,大別して1) 岩石の鉱物組成と体積変化量の関係,2) 層状鉱物の一種であるトバモライトの水蒸気吸着性状,3) 粗骨材中に生成したASRゲル量と体積変化量の関係の3項目の検討を行い,以下の結果が得られた。1) 粗骨材(岩石片)の飽水時から60%RHまでの乾燥収縮量は,骨材中に含まれる膨潤性粘土鉱物と考えられる緑泥石の量や骨材中の膨潤性粘土鉱物量を間接的に定量しているとみなせる結合水量と相関があることが実験的に確認された。2) 層状鉱物の一種であるトバモライトの水蒸気吸着等温線に対して,拡張BET理論をもとに発展させた親水性の異なる水蒸気吸着サイトの存在を仮定した多相モデルを提案し分析を行った結果,3種類の親水性をもった水蒸気吸着サイトが存在する可能性が示唆された。3) アルカリラッピングを施し,アルカリ骨材反応(ASR)促進反応試験を行ったコンクリートプリズムの膨張率は,ゲルフルオレッセンス法をもとに簡易的に定量した反応性骨材中に生成されたアルカリシリカゲル(ASRゲル)量と相関があることが実験的に確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨材の体積変化の原因となる分子を定量し,骨材もしくはコンクリートの体積変化と一定の相関が確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
粗骨材単体を用いて,焼成による粘土鉱物の酸化物化,薬品による粘土鉱物の溶解,混和剤の含浸による粘土鉱物の層間構造の固定化など,人為的な改質により骨材の乾燥収縮の制御が可能になることを検討する。
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