2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K14065
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
難波 尚 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314503)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 木質構造 / 耐力壁 / 高強度 / 変形能力 / 靱性保証設計 / 接合部 |
Outline of Annual Research Achievements |
中大規模木質構造建築を対象とした高強度・高靱性の損傷制御型ブレース耐力壁として,多段のたすき掛け棒鋼ブレースを有する耐力壁を提案し,載荷実験によりその弾塑性挙動を明らかにした。最終的に,本耐力壁の剛性,耐力および靱性保証のための設計法について提案を行った。 本研究で提案する耐力壁は,耐力壁の高さ方向に多段の棒鋼たすき掛けブレースを配置することで高強度化を図ったものであり,各たすき掛けブレースの交点に鋼製のリング型接合部を設け,棒鋼ブレースが降伏する以前にリング型接合部の塑性化を生じさせるものである。これにより,正負繰り返し変形時スリップ挙動の少ない高いエネルギー吸収性能の実現を図るものである。 提案耐力壁の載荷実験に先行してリング型接合部の要素試験体について繰返し載荷実験を実施した。接合部要素試験体は,PL-12(SS400)より切り出したφ250×15とφ250×20の2種類である。載荷実験より,リング接合部は,リング直径の±10%に相当する変位振幅まで亀裂を生じず,±20%の変位振幅まで荷重低下が生じない安定した履歴特性を示した。 耐力壁載荷試験体は,スパンおよび高さがそれぞれ910mmおよび3265mmで,柱に150×150の断面を,土台および桁それぞれに150×150および200×150の断面を用いた。いずれの部材もE105-F345のベイマツ集成材を用いている。実験は,リング接合部寸法を2ケース,ブレースの段数を2ケースとした計4ケースについて実施した。 いずれも試験体もスリップの少ない正負交番繰返し載荷に対してエネルギー吸収能力の優れた履歴特性を示し,1/10radの変形角まで耐力低下が生じない優れた変形能力を示した。最も高い耐力を発揮した試験体の壁倍率および最大耐力は,それぞれおよび9.9および60kNであった。
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