2015 Fiscal Year Research-status Report
薄型チャンバー内のモード解析に基づく斜入射吸音率測定法の開発
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15K14072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 哲哉 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (80282995)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音・振動環境 / 吸音 / 音響計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、薄型チャンバー内の多点計測とモード解析に基づく新しい測定原理により斜入射吸音率の測定を実現し、さらに残響室法の代替手法として、斜入射吸音率からのランダム入射吸音率の推定手法を提案することを目標としている。 初年度は、第1段階として、斜入射吸音率測定法の理論を構築し、特に実際の測定システムを構成する上での設計パラメータ、測定可能な周波数範囲および音波入射角との関係を解明した。続いて、今回試作する測定システムの適用範囲を決定し、チャンバー部、試料設置部、音源系、受音系、信号処理系などの仕様を詳細に検討し、装置製作の特注先の専門技術者と協議の上でシステム設計を完了、試作システムを完成した。 第2段階では、測定システムの信号処理系として、多点計測データのモード解析から斜入射吸音率算出までの分析プログラムを新たに構築した。また、試作システムの検証用に、測定システムの数値シミュレーションプログラムの作成を開始し、プログラムを完成した。さらに、試作システムによる実測に先立ち、計算によるケーススタディを開始し、適用性検証を行った結果、スピーカの寸法・位置やチャンバーの板振動に起因する吸音率の測定誤差が明らかとなった。 最後に、第3段階の前半として、試作システムを実際に用いて斜入射吸音率測定の試行を開始した。一般的な吸音材料であるグラスウールを試料として測定を実施し、無限大面積試料の理論値や上記数値シミュレーションの計算値との対応を確認し、測定法の妥当性が実証された。ただし、特定の周波数と入射角の組み合わせで測定誤差が生じる問題が発見され、次年度はその対策を検討することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
斜入射吸音率測定システムの開発およびランダム入射吸音率推定への応用に向けて、初年度は第1段階:測定法の理論構築と測定システムの設計・試作、第2段階:数値シミュレーションによる測定システムの適用性検証、を予定通りに完了した。また、次年度に予定していた第3段階:各種音響材料を用いた測定試行と精度検証、もかなり進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終の第二年度は、既に進行中の第3段階:各種音響材料を用いた測定試行と精度検証、を前期に完了し、第4段階:測定値を用いたランダム入射吸音率の推定精度の検証、に重点的に取り組む。なお、初年度に見つかった測定システムの問題点について、対策方法を具体的に設計提案し、システムの改良とその効果検証にも取り組む。
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Causes of Carryover |
測定試料となる音響材料の材料費・加工費が想定より安価となったため、物品費が予定額より小さくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、主に測定システムの改良と測定試料を増やして実験検証を行うため、物品費と実験補助に対する謝金、学会発表の旅費の支出を予定している。
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Research Products
(3 results)