2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the circulation and utilization model of the used housing which cooperated with the landscape community design in suburb
Project/Area Number |
15K14087
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
安枝 英俊 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (60402971)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中古住宅 / 景観まちづくり / 郊外住宅地 / 洛西ニュータウン / 空き家 / 減築 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、①戸建住宅・テラスハウスの売買動向の分析、②建物更新後の通り景観の調査、③住み替え希望のある戸建住宅所有者に対するインタビュー調査、④景観まちづくりに関わる居住者、不動産鑑定士、行政らとの協議による流通・活用モデルの検討を実施した。 ①売買動向については、国土交通省・土地情報総合システムに掲載された戸建住宅71件とテラスハウス39件について分析し、戸建住宅の坪単価は12年間で20万円程度下降し、テラスハウスはほぼ同価格で推移していた。流通業者には、敷地分割を制限する地区計画が流通の阻害要因と指摘されたが、土地価格が適正な範囲内にあれば、必ずしも阻害要因にならないことがわかった。②通り景観の調査では、2台以上の駐車スペースを設けるために、更新時に植栽や塀や生け垣が撤去され、植栽が著しく減少している。景観まちづくりとの連携には、地区計画の遵守だけでなく、植栽を継承する手法が必要である。③住宅所有者に対する調査では、住宅全体を利用していないことや管理が行き届かないことが住み替えの動機になるが、建物の維持管理に熱心な所有者ほど、建替ではなく中古住宅として若い世代に住み継いでもらいたい意向が強い。 調査対象地では戸建住宅の半数が1981年以降に建設されているため、耐震改修が必要になる場合がある。景観まちづくりと連携した中古住宅の住み継ぎには、所有者が、住み替え時でなく、居住中に建物のインスペクションを受け、その結果に基づき、耐震性・居住性の向上、及び、駐車・植栽のスペースを確保するための減築改修を実施し、若い世代のニーズに適合しながら、植栽を継承することにもつながる中古住宅の改修計画が必要である。さらに、減築改修型の流通・活用モデルには、適切な維持管理、減築改修による耐震性・居住性の向上等の付加価値を市場価値として評価する仕組みや、住替支援の仕組みも備える必要がある。
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