2015 Fiscal Year Research-status Report
建設技能労働者の処遇改善のための日本型5D-BIMの諸元に関する研究
Project/Area Number |
15K14088
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
蟹澤 宏剛 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00337685)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志手 一哉 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (60505353)
安藤 正雄 東京大学, 生産技術研究所, 研究員 (80110287)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | BIM / リーンコンストラクション / フロントローディング / トヨタ生産方式 / IPD / IFOA / ユニオン / CJAP |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、米国セントルイスにおいて主にユニオンシステムについて、サンフランシスコにおいてBIMおよび民間発注者主導の新しいプロジェクト運営方式に関して調査をおこなった。ユニオンについては、組織的・近代的徒弟制度とでもいえるシステムに注目し、その具体的カリキュラムや、背景にある明確な評価指標・基準、能力に応じた処遇の具体値、時間外労働の上乗せ額、休日が安定的に確保される環境等について知見を得た。いっぽう、米国ではユニオンを使うことが義務づけられているわけではなく、常に単価の安いノンユニオン(不法労働を含む)との競争に晒されていること、その影響もあり、従来の閉鎖的な組織がオープンな組織と仕組みへと変化してきていることを知ることが出来た。 民間発注者主導の新しいシステムについては、現在においてもトヨタ生産方式が良く研究されており、「大部屋」「プル生産」「ジャストインタイム」等の要素が建設プロジェクトに活用されていることが確認できた。Lean Integrated Project Delivery(LIPD)においては、“Target Value Design”でプロジェクト初期段階で目標価格を決め、その価格に向けて設計を造り込むことをBIM を有効に活用してフロントローディングを実現しようとしている事を知ることが出来た。Integrated Form of Agreement(IFOA)については、プロジェクト全体の生産性向上や、リスクを事前に解消するために、異なる主体がプロジェクトの上流で協働する手続きを定義していることと、そのプロジェクトマネジメントを発注者が主導し、合理的な建築生産プロセスを築いていることを確認することができた。ただし、研究事例が限定的なため新年度ではより多くのサンプルを調査する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
どちらかといえば保守的な存在とされることが多いユニオンについて、近代徒弟とでもいえる入職者確保方策、および生産性向上のための教育・訓練を軸に、ユニオンが新しい姿に変化してきており、今後も注目する価値があることを提示できたことは従来に内製化である。BIMについては、日本では効果的な活用方策を模索している段階であるが、民間主導の発注システムにおいて、今でもトヨタ生産方式が研究され、日本以上にその利点を抽出し、ステイクホルダー間の調整等に活用しようとしている実態を知ることが出来た。これは、既往の研究には記されていない新しい知見であり、正に本研究のタイトルである日本型の5DBIMの諸元記述の重要なヒントを得ることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年も現場での調査を継続し、サンプルを増やして、これまでに得られた知見を検証する計画である。また、米国で今でも研究されているトヨタ生産方式、これと類似点も多い日本の建築生産システムについて、米国人のとらえ方を深く検証して再評価・逆輸入すべきポイントについて探ることとしたい。 ユニオンシステムについては、実現場における使用者側の評価を調査してメリット・デメリットを客観的に分析し、日本において活用できるモデルについて考察する。
|
Causes of Carryover |
本研究は旅費が大半を占めるため、燃油サーチャージ等の変動により誤差が生じて次年度繰越が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の交通費等として適切に執行する。
|
Research Products
(5 results)