2015 Fiscal Year Research-status Report
無作為抽出と熟議との反復が市民のまちづくり参加への意識と行動に及ぼす効果の研究
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15K14091
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
前田 洋枝 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (70611094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅春 愛知学泉大学, 現代マネジメント学部, 非常勤講師 (30465504) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無作為抽出 / 熟議 / ミニ・パブリックス / エンパワーメント / 自治意識 / 参加意図 / 市民討議会 / 総合計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
豊山町の町民討議会議を事例とした研究では、2015年度の町民討議会議(2015年8月)に当たり、研究分担者・伊藤を中心にプログラムを作成し、当日の進行を行なった。町民討議会議参加者(2日間通しての参加者は46名)に対して、事後アンケートを研究代表者・前田が中心となって実施した。アンケートの集計結果は2015年秋にまとめた。また、2015年度の町民討議会議参加者に対して振り返りのヒアリング調査の協力を依頼し、2015年3月に計13名の参加者にヒアリング調査を行なった。 また、本科研(2015年度から)に先立って実施済みの、2011年度~2014年度の事後アンケートの結果の分析の一部について、第31回国際心理学会議(ICP2016,2016年7月開催)に発表申し込みとアブストラクトの提出を行い、2016年2月に採択通知を受けた。 愛媛県伊予市の市民討議会議を事例とした研究では、2015年度の市民討議会(2015年8月に開催) に当たり、伊藤を中心にプログラムを作成し、当日の進行を行なった。市民討議会参加者(33名)に対して、事後アンケートを前田が中心となって実施した。また、2015年度の市民討議会の開催に先立ち、無作為抽出の伊予市民2000名に対する質問紙調査を前田が中心となって2015年7月に実施した。2015年7月の調査結果および8月の市民討議会当日のアンケートの結果は2015年秋にまとめた。 これらのデータにより、参加者の協働のまちづくりへの意識・行動や関連する心理要因(エンパワーメント、コミュニティへの帰属意識など)の変化や、参加者の人口統計学的な構成の変化と町民討議会議に対する評価の関連の検討を行なうことができる。また、未参加者の市民討議会に対する認知度の変化と町政に対する参加意識・行動変容を検討するための開催前のデータも伊予市において得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
豊山町を事例とした研究は、2016年度の町民討議会議のプログラム作成は研究分担者・伊藤を中心に作成・決定し、2016年8月に2日間の町民討議会議を開催できた。討議で出された意見や最終的な提案内容と、過去4年間の討議内容との比較分析(担当:伊藤)も順調に進めており、2016年度のコミュニティ政策学会の分科会で発表後、論文化の予定である。また、2015年度の町民討議会議参加者への事後アンケート(担当:前田)は2015年度の町民討議会議においても実施の上、単純集計は秋にまとめた。さらに、総合計画策定をテーマとした町民討議会議について、2011年度の町民討議会議の実施前の無作為抽出町民への調査結果と2011年・2014年の事後アンケートの比較分析を行い、ICP2016(第31回国際心理学会議)に発表申し込み・アブストラクト提出を行い、2016年2月に採択通知を得た(2016年7月に発表予定)。2015年度の町民討議会議参加者のインタビュー調査(担当:前田・伊藤)も10名を超える参加者に協力を得て実施できた。 2016年度に実施予定の無作為抽出の町民と2011年度~2015年度の参加者への質問紙調査(担当:前田)も2015年度中に質問紙の作成・印刷を終えた。 このように豊山町を事例とした研究は順調に進めている。 伊予市を事例とした研究は、6月に伊予市を訪問して市民討議会における調査実施について、市役所の担当職員と協議を行なった。プログラムは伊藤が作成し、7月には無作為抽出の市民への調査を実施し、8月の市民討議会当日にも参加者に事後アンケートを行なった(調査担当:前田)。参加者へのインタビュー調査は2015年度内に実施できなかったが、2016年度の市民討議会実施とその際の調査実施の協力の内諾は市役所の担当職員から得ている。 このため、おおむね順調に予定した研究を実施できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度研究分担者・伊藤は2016年度は研究協力者となるが、これまで通り、本研究の実施において、プログラム・討議記録の分析やヒアリング調査を担当する予定である。 豊山町、伊予市とも、本研究の実施において町役場・市役所の協力を十分に得られており、今後もこの体制を維持しながら、研究を進めていく予定である。なお、2016年度はコミュニティ政策学会の大会において分科会形式での発表を予定しており、登壇者には前田・伊藤の他、豊山町役場の町民討議会議担当職員や関連分野の研究者も予定している。このように関連分野の研究者とも適宜連携や情報交換をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、伊予市への出張の費用(国内旅費として計上)が当初の見込みよりも少なく済んだことが大きな要因である。申請時の計算では2泊3日を3回としていたが、航空機とのパック料金を適用して出張した際は、陸路での交通費と宿泊費を合わせた費用よりも大幅に少なくて済んだ。また、陸路を使用した場合も宿泊費は規定額ではなく、実費での支出とした(1泊6000円程度)ため、支出額が少なく済んだ。また、「人件費・謝金」については、インタビュー調査の実施が2015年度末となったため、文字起こし作業の料金の執行が2016年度予算となったことが「その他」の執行額が当初予算より少なくなった理由である。「人件費・謝金」で執行を予定していた模造紙の討議記録のデータ化などについて想定より少ない額で済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度予算では、もともと予定していた2016年度の調査費用(質問紙等印刷、発送料金、返信料金)を執行する他、2015年度に実施したインタビュー調査の文字起こしの料金も支出する。 また、科研費応募の際には予算に計上していなかったが、必要となった費用(例えば、アンケート返信率の観点から豊山町での2016年度の無作為抽出の町民および5年間の町民討議会議参加者へのアンケートの返信先を豊山町役場としたことによる、アンケートのデータ入力・分析のための豊山町に届いた返信をまとめて南山大に送付する費用など)もあるため、2016年度は2015年度の持ち越し額も含めて全て執行予定である。
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Research Products
(2 results)