2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14092
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宗本 晋作 立命館大学, 理工学部, 准教授 (20581490)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緑環境 / 緑視率 / 感性評価 / ベイジアンネットワーク / 確率モデル / 全方位 / 自己組織化マップ / 印象評価推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、2015年度に実施した成果を精緻にし、日本建築学会計画系論文集において「ベイジアンネットワークを用いた緑視率に基づく緑環境評価の確率モデルに関する研究」として査読論文に纏めた。京都市内の街路を全方位カメラで撮影し、街路の画像データを獲得した。画像データは、京都市が独自に行った調査と同じ場所とし、比較ができるようにした。花壇や街路樹のピッチや高さ、壁面緑化されている建物の壁面を近景の『緑』、遠方の山の緑を遠景の『緑』として記録した。これらの街路の『緑』に対して、「満足」「不満足」の印象評価実験を行い、評価結果も併せてデータベースに蓄積した。次に街路の『緑環境評価』と抽出した空間要素群の関係モデルの構築を行った。街路に対する『緑環境評価』を、抽出した空間要素を変数とする不確実性を含む行為と捉え、街路の『緑環境評価』と空間要素の関係を、ベイジアンネットワークを用いて確率モデルで表現した。 以上要するに京都市の景観を対象に、緑の見え方に基づく指標である緑視率と景観の印象評価の関係を確率モデルで表す方法である。確率モデルにより、『街路の緑』を植樹等『近景の緑』の要素と山の緑等『遠景の緑』の要素との関係を明確にし、確率推論により人が満足するのに必要な『近景の緑量』を予測するという点で有効であり、研究目的達成に必要な要素技術の一つである。 加えて上記の研究過程において、景観画像端部の歪みが緑環境の評価に関係することを問題に感じたため、外部の協力者と共に緑視率そのものの計測方法を見直し、「全方位緑視率を用いた緑地環境に対する印象評価推定モデル作成と検証-全方位緑視率と印象評価実験をもとにした自己組織化マップを用いて-」として査読論文に纏めた。これは、本研究の目的に関連し、緑環境に対する評価を写真を用いて行う場合にも、より空間体験を通じた評価に近づけることができ有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に必要な要素技術の一つを予定通り、「ベイジアンネットワークを用いた緑視率に基づく緑環境評価の確率モデルに関する研究」として査読論文に纏めた。 また研究計画の予定にはないが、研究過程において、緑視率をより空間体験に近い指標とするべく全方位緑視率を考案し、「全方位緑視率を用いた緑地環境に対する印象評価推定モデル作成と検証-全方位緑視率と印象評価実験をもとにした自己組織化マップを用いて-」として査読論文に纏めた。 最終成果として纏めるにあたり、これまで事例としてきた京都の山紫水明を特徴とする景観以外の他の都市の景観において再現実験を行っておく方がよいと考え、期間延長を申請したが、上記のように、研究目的達成に向けて順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最後に全体の研究成果の纏めとして、緑環境評価のデータベース、確率モデル、予測マップを組み合わせた生理学に基づく新しい『緑環境評価』ガイドラインの策定方法の提示を目指す。過去2年間の研究期間を経て、生理学に基づく街路の緑環境評価ガイドラインの策定に向けて、京都市の景観を対象に緑の見え方に基づく指標である緑視率と景観の印象評価の関係を確率モデルで表す方法を提示し、データベースと確率モデルまでは完了した。 本年度は、山紫水明を特徴とする京都市の景観以外に、他の都市の景観を同様に全方位カメラで撮影し、街路の画像データを獲得し検証を行いながら、以下のように進める。 街路の『緑』のデータベースを用いて、自己組織化マップを導入し、「満足」あるいは「不満足」と判断された街路の『緑』を、抽出した空間要素の特徴に基づいて2次元平面に位置づけたマップを獲得する。獲得したマップ上で、緑環境がどこに位置づけられるかを視覚的に把握し、『緑環境評価』を推測する。実用化に向けて、行政指導に用いるのに効果的な知識記述のあり方に配慮しながら、ガイドラインの策定方法を提示する。
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Causes of Carryover |
物品費については、本年度は実験データ用サーバーを整備する必要がなく、高額機材の購入を行わなかったため。人件費・謝金については申請者と協力者でデータ分析を行い、支出を抑えたため。その他については、論文入稿料は別予算で賄えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費については、実験用に高画質表示する機材とデータ保管用サーバーを整備する。旅費は研究発表と調査費用の交通費に充てる。人件費・謝金についてはデータ分析費に充てる。その他については、投稿論文の入稿料や印刷費に充てる。
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Research Products
(2 results)