2015 Fiscal Year Research-status Report
2ビット情報の記録可能な積層縦型構造多値記録相変化メモリ素子の創製
Project/Area Number |
15K14104
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須藤 祐司 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80375196)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 不揮発性メモリ / 結晶化 / アモルファス / 相変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二段階結晶化を示すCu-Ge-Teと一段階結晶化を示すGeTeを用いた多値記録相変化メモリ素子の創製に挑戦し、本期間において以下の知見を得た。 (1)二段階結晶化を示すCu-Ge-Teの組成範囲:二段階結晶化を生じる組成範囲を明確にするため、GeTe-CuTe擬二元系薄膜(Ge50-xCuxTe50)を作製し、その結晶化挙動に及ぼす組成依存性を調査した。尚、結晶化挙動の評価には、二端子法による電気抵抗測定(昇温速度:10℃/min)を用いた。その結果、21<x<24at.%の範囲で二段階結晶化が生じる事が分かった。 (2)結晶化メカニズムの解明:これまで、Cu組成が23.4at.%である擬二元系アモルファス薄膜は、結晶化に伴う体積変化が約0.6%と極めて小さい事が分かっていた。その挙動を明らかにするため、該薄膜を各温度に熱処理した後、透過電子顕微鏡観察を行った。その結果、第一結晶化においてGeCu2Te3が生成し、第二結晶化に伴い残留アモルファスがGeTeへと結晶化する事が分かった。即ち、結晶化に伴い体積膨張するGeCu2Te3結晶相が先ず生成し、その後、結晶化に伴い体積収縮するGeTe結晶相が生成する事により見かけ上体積変化がほぼ0となる事が明らかとなった。 (3)レーザー照射実験による結晶化挙動:本研究では、レーザー照射装置を用いて結晶化速度を評価した。その結果、組成によっては、準静的な10℃/min程度の昇温速度で二段階結晶化する薄膜も、ナノ秒幅のレーザーパルス照射では、GeCu2Te3単一相へと結晶化する事が分かった。一方で、準静的な昇温では単一相に結晶化する薄膜も、逆に、ナノ秒レベルでは二段階の結晶化を示す事が分かった。尚、レーザーパルス照射(レーザー強度:5.7mW)では、GeCu2Te3相へは約50ns、GeTe相へは約230nsで結晶化する事が分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、二段階結晶化を示すGeTe-CuTe擬二元系薄膜の詳細な組成範囲が明らかとなった。同時に、その二段階結晶化のメカニズムも、電気抵抗変化および組織観察より明らかとなってきた。また、その相変化速度は、メモリデバイスに要求されるナノ秒程度で生じる事も分かってきた。更に、興味深い事に、ナノ秒レベルでは、10℃/min程度の準静的な昇温速度下での相変化挙動と全く異なり、幅広い組成範囲にて二段階結晶化を示す事も分かってきた。 これまでに得られている知見より、二段階結晶化を示すGeTe-CuTe薄膜と一段階結晶化を示すGeTe薄膜の相変化に伴う電気抵抗変化の組み合わせから、計算上、4つの電気抵抗値レベル(かつ各レベルの電気抵抗差が1桁以上)を設定可能である事も明らかとなってきている。以上のように、GeTe-CuTe二元系薄膜の二段階結晶化挙動について、その結晶化メカニズム等が明らかになり、当初の計画通りに進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本期間にて得られた知見を基に、GeTe-CuTe擬二元系薄膜およびGeTe薄膜の積層型メモリセルを作製し、そのメモリ動作を検証する。特に、付与するエネルギーに依存して、相変化挙動が異なる事が分かってきている。それ故、該メモリセルのメモリ動作に及ぼす印加電圧依存性を評価する予定である。更に、二段階結晶化を示すGeTe-CuTe二元系薄膜は、相変化に伴う体積膨張がほぼゼロを示す。通常、相変化材料は、6%~8%程度の大きな体積変化を示すが、このような大きな体積変化はメモリセル内に大きな内部応力を発生させるため、相変化材料/電極界面の剥離などの原因となり書き換え耐性に悪影響を及ぼす。それ故、相変化に伴う体積変化がほぼゼロであるGeTe-CuTe擬二元系薄膜は、相変化メモリの書き換え耐性の大幅な向上が期待出来る。それ故、該薄膜を用いたメモリデバイスの耐久性評価についても重点を置き評価を進める。更に、他の相変化材料についても検討を行う。
|
Research Products
(2 results)