金属／半導体界面における電子フィルタリング効果を利用した新規熱電材料の開発

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K14107
• Research Institution: Nagaoka University of Technology
• Principal Investigator: 武田 雅敏 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30293252)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 半導体物性 / 金属物性 / 複合材料・物性 / ナノ材料 / 廃熱利用 / 熱電変換材料 / 界面制御

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，熱電材料粉末表面に処理を施すことで熱電特性の向上と焼結プロセスの低温度化・無加圧化を目指している．今年度は，無機熱電材料表面処理方法の検討を行った．
表面処理方法としては真空プロセスを利用する方法と液中での表面処理を検討した．前者の利点は様々な材料に適用できることであるが，粉末を対象としているため不均一となり，それを解消するための方策を試みたが本研究で目的とする表面状態は得られなかった．そこで，後者の液中での処理方法に注力した．反応条件の制御に加えて物理的な刺激を与えることでほぼ均一な表面状態が得られた．また表面状態もある程度制御できることが明らかになった．
熱電特性を調べる前の段階として，得られた粉末を用いて固化を試みた．無加圧でも加熱処理によってある程度の硬化が確認された．また全ての条件ではないが電気伝導も確認された．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初計画では真空プロセスを用いた物理的手法，液中プロセスを用いた化学的手法で粉末の表面処理を初年度は行うことにしており，両プロセスを実際に実施して検討を行った．結果としては液中プロセスの方が本研究には適していることが明らかになった．また電気的特性が測定可能であることも確認し，次年度の研究に繋がる成果を得た．

Strategy for Future Research Activity

表面処理を施した粉末で熱電変換特性を含む電気的特性の評価を行い，表面処理，つまり界面の熱電特性に及ぼす効果を明らかにしていく．粉末のままでは測定できないため，加圧焼結も含めて固化を行う必要がある．その過程で，表面処理を施さない粉末に比べて焼結性が向上しているか否かを明らかにする．
初年度の研究で，より微細な粉末を用いることが電気的特性や焼結性には有利であることが見いだされている．そのため，液中で粉砕してそのまま大気に触れることなく表面処理を行うなど，粉末の微細化が重要と考えている．

Causes of Carryover

真空プロセスでの表面処理に比べて液中プロセスの方が本研究には適していることがわかり，液中プロセスに注力したことが次年度使用額が生じた理由である．

Expenditure Plan for Carryover Budget

液中プロセスが良好な結果を示していることから，利用する金属を当初予定より種類を増やして研究を行うことを計画している．