2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
東 正樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (40273510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 元 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (90611369)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機能性セラミックス / 圧電体 / 高圧合成 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表的な強誘電・圧電材料であるPbTiO3に倣い、有害な鉛の代わりにビスマスを含む物質の探索が行われているが、これまでに見つかっているPbTiO3型化合物は歪みの指標であるc/a比 が~1.2と大きいため、分極の反転が起こらない。こうした物質の一つにBi2ZnTiO6がある。ここではd0のTi4+がもつ二次のヤーンテラー効果のために、PbTiO3型の構造歪みが起こっていると考えられる。絶縁性を保ちながらc/a比 を減少させるには、d3またはd6のイオンでTi4+を置換することが効果的と考えられる。我々のグループは高圧合成法を用いて、Bi2ZnTi1-xMnxO6(BZTMO)を合成した。狙い通りMnをしていくにつれてc/aはPbTiO3と同程度にまで減少し、また結晶構造は単斜晶構造を持つことが分かった。よって、BZTMOは高い圧電が期待できる。そこでパルスレーザー堆積法でBi2ZnTi1-xMnxO6薄膜試料を合成した。X線回折実験の結果、狙い通りMn置換量が増えるにつれてc/aが減少することを確認した。また逆格子空間マップ測定により、x = 0.2 ~ 0.45ではバルクの単斜晶構造と異なり、正方晶構造をなることが明らかになった。一方透過型顕微鏡による断面観察の結果、今回作製したBZTMO薄膜は電極界面のみで、不純物相を多く含む薄膜であった。しかし、圧電歪み-印加電界(S-V)曲線の結果、バタフライカーブを観察できた。このことから、BZTMOは強誘電性を持っていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザーアブレーション法によって薄膜試料の作成に成功し、圧電性を確認することができたため。研究の初期段階では亜鉛の揮発により組成がずれ、層状ビスマス化合物が生成してしまう、という問題があったが、低温の成膜でアモルファス相薄膜を作り、それを熱処理して結晶化させる、という方法でBZTMO薄膜を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で開発した、低温の成膜でアモルファス相薄膜を作り、それを熱処理して結晶化させる、という方法で、端成分であるBi2ZnTiO6の薄膜を得ることもできるという感触を得ている。Bi2ZnTiO6は巨大なc/a比のために注目を集めたが、分極を反転できないため、圧電特性の報告がない。薄膜化することで圧電評価を行い、基礎データ収集する。
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Research Products
(5 results)