2015 Fiscal Year Research-status Report
ガラス中で可視発光するCuの発光メカニズムと発光制御に関する研究
Project/Area Number |
15K14132
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
小西 智也 阿南工業高等専門学校, 地域連携・テクノセンター, 特別研究准教授 (90455163)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガラス / 蛍光 / 銅イオン / 酸化スズ / 化学状態 / 構造 / レアメタルフリー / XAFS |
Outline of Annual Research Achievements |
Cuイオンを添加したSnO含有ガラスは無色透明であるとともに、近紫外励起により強い黄白色発光を示す。ガラスに添加したコモンメタルが可視域で蛍光発光するメカニズムは興味深いだけでなく、次世代照明に向けたレアメタルフリー蛍光体への応用にも重要である。これについて、本研究では発光中心イオンの化学状態と局所構造の観点から知見を得ることを目的としている。これまでに以下の知見を得た。 1.Cuイオン発光強度のガラス組成依存性 Cuイオンの添加量を固定し、SnOとZnOの組成比を変えてリン酸塩ガラスを作製した。SnOの組成比を0.5mol%から40mol%まで増加したところ、10mol%までは発光強度が増大したが、それ以後は減少した。量子収率測定、蛍光寿命測定により、SnOの組成比とともに発光中心生成量が増大し、濃度消光を起こすことがわかった。また、赤外吸収測定により、発光中心の生成には、SnO含有量によるガラス構造の変化が関与している可能性が示唆された。 2.XAFS測定による発光に寄与するCuイオンの化学状態 Cuイオンの添加量を固定し、SnOの組成比を変えて作製したガラス試料についてCu K端XANESスペクトルを測定した。その結果、SnOの含有量(発光強度)に関係なくCuイオンはほぼ同じ化学状態で存在しており、吸収端から一様に1価に近い状態であることがわかった。また、紫外可視光吸収スペクトル測定においても、2価ではほぼ存在していないことが示された。しかしSnOの含有量によって黄白色発光中心生成量は変化した。このことから、Cuイオンが黄白色発光に寄与するには、1価の状態であるだけではなく、さらに別の要因(例えば特別な局所構造等)も必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画は、発光強度が高いガラス組成の探索と、発光に寄与するCuイオンの化学状態解明であった。前述の研究実績は、平成27年度の研究計画に準ずると判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究計画に沿ってEXAFS領域の測定を行う。Cu近傍の局所構造や電子構造に関する知見を得て、発光メカニズム解明につなげる。
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Research Products
(3 results)