2015 Fiscal Year Research-status Report
無機ナノシートの精密集積による高次メタマテリアルの創製
Project/Area Number |
15K14134
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長田 実 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 准主任研究者 (10312258)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無機ナノシート / メタマテリアル / 精密集積 / 超周期構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタマテリアルは、電磁波の波長よりも十分小さな要素を並べた人工物質で、負の屈折や電磁波の迂回など、自然界ではあり得ない特殊な電磁波応答とその人工的な制御を可能とする夢の技術である。本研究では、分子レベルの薄さの2次元ナノ物質「無機ナノシート」をベースに、金属―誘電体―強磁性体の超周期構造を自在に設計・構築し、高次メタマテリアルの創製を目指すものである。 本年度は、これまで開発した伝導性、高誘電性、強磁性ナノシートをベースに、従来技術で作製が困難であったナノからマイクロスケールで誘電率、透磁率を人工的に変調させた超周期構造体を構築し、新規メタマテリアルとしての可能性について検討した。強磁性ナノシート(Ti1-xFexO2, Ti1-xCoxO2)、高誘電性ナノシート(Ti1-dO2、LaNb2O7、(Ca,Sr)2Nb3O10)を融合させた超周期構造体を作製し、隣接するナノシートの種類と積層数を変化させることにより、誘電率や層間の磁気的相互作用を人工的に制御した超格子膜を形成した。これらの超周期構造体の電磁場応答について検討したところ、特異な応答は、伝導性RuO2、高誘電性Ca2Nb3O10ナノシートから作製した人工超格子で確認され、赤外光領域で負の屈折率を示すメタマテリアルとして機能することを見出した。 また、誘電体ナノシートをベースに超周期構造体を新たに作製したところ、THz域で非磁性の誘電体が磁気双極子のような振舞い、全体構造の実効透磁率の値を正の値だけでなく0もしくは負の値に制御できることを確認した。光学波長域での応答については現在検討中であるが、従来の銀、金の金属共振器を利用しないAll誘電体積層型メタマテリアルの開発に向けて新たな設計指針を与えると同時に、誘電体の低光損失という特徴を利用したソーラコレクタ、平面ハイパーレンズなどへの応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、メタマテリアル開発に向けた基礎研究から開始し、ナノシート単体での電磁場応答の検討と共に、電磁場解析による最適構造の設計を行った。この知見に基づき、メタマテリアル特性が示唆される超格子構造を作製し、赤外光領域で負の屈折率を確認した。All誘電体積層型メタマテリアルの開発など、当初予定していない進展もあり、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したメタマテリアルについて、微細加工により高次ナノ構造体を作製し、光学特性、磁気光学特性、電磁場吸収特性の評価を行う。FDTD法、有限要素法などを利用した電磁場シミュレーションや各種特性評価を通じ、表面プラズモン・ポラリトンによる光学特性変調や可視光~テラヘルツ波制御機能の可能性を検討し、特定の光周波数にのみ応答する磁気光学材料(表面プラズモン磁場センサ、電磁場シールド膜)、屈折率がゼロ、負、もしくは何百万といった巨大屈折率材料など、自然界ではあり得ないメタマテリアルの創製を目指す。
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Research Products
(14 results)