2015 Fiscal Year Research-status Report
離脱充填制御による消耗ツール式摩擦バット接合への挑戦
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15K14138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粉川 博之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10133050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 裕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00292243)
藤井 啓道 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70560225)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 摩擦攪拌接合 / 摩擦肉盛 / 突合せ接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、摩擦攪拌接合と摩擦肉盛を組み合わせた全く新しい消耗ツール式突合せ摩擦接合技術「摩擦バット接合」の開発に挑戦している。具体的には、回転する消耗ツールを被接合材の開先部に押し付けて、開先部に消耗ツール材をせん断離脱・充填させ、2枚の板材を突合せ(バット)接合する技術の実現を目指している。この新しい接合技術において、消耗ツールのせん断離脱・充填過程を高度に制御するプロセス原理を学術的に明らかにするとともに、得られた界面組織・継手特性を系統的に評価して、接合メカニズムを解明し、本接合技術の実現可能性を検証することを目的としている。平成27年度は、5052アルミニウム合金板材に対して、同種材からなる棒材を用いて種々の肉盛因子で摩擦肉盛法を実施し、棒材の離脱量(厚さや幅)に及ぼすプロセス条件の影響を系統的に調べ、以下の成果を得た。 棒材の回転速度を増加させた結果、肉盛り層の厚さと幅は減少する傾向を示した。走行速度は肉盛り層の厚さにはほとんど影響しなかったが、幅は走行速度が速いほど減少する傾向が見られた。また、棒材の押付け力の増加とともに肉盛厚さは若干減少する傾向を示した。最大の肉盛厚さは6mm程度であったことから、板厚6mm程度の被接合材の摩擦バット接合の可能性が示唆された。基材と肉盛り層の界面は非常に強固に接合されており、摩擦熱と塑性流動に起因する微細な再結晶組織が観察された。以上の結果より、摩擦バット接合が可能な板厚範囲およびプロセス条件に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書に記載した研究経費から減額された影響で、購入予定していた摩擦肉盛アタッチメントを購入することができなかったため、既存の摩擦攪拌接合装置を用いた摩擦肉盛試験における条件選定が予想以上に手間取った。現在は周辺機器や治具等を工夫して接合試験が可能な状態にあるため、今年度の遅れを取り戻すべく研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、研究調書に記載した項目どおりに実施予定である。すなわち、棒材のせん断離脱・充填挙動の解析、消耗ツールを用いた突合せ摩擦接合法の実施、継手の評価を行う。若干遅れ気味だが、他所の設備借用や学生の実験補助等を効率的に利用して計画どおりに進め、目標達成に向けて努力する。
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Causes of Carryover |
既存の摩擦攪拌接合装置を用いた摩擦肉盛試験における条件選定が予想以上に手間取った影響により、研究の進捗がやや遅れていることによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進捗がやや遅れ気味であるが、その主因となった摩擦肉盛試験の条件選定は現状可能な状態になったため、当初研究調書に記載した項目を急ピッチで進める予定である。従って、平成27年度に計上した使用額を含め、平成28年度中に使用する予定である。
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