2015 Fiscal Year Research-status Report
熱可塑性エンプラと金属とのレーザ直接接合機構の解明
Project/Area Number |
15K14147
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川人 洋介 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70379105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 博士 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00252338)
西本 浩司 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40501169)
Dino Wilson 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60379146)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レーザ / 樹脂 / 金属 / 接合 / 酸化被膜 / 熱可塑性 / ナノ / 異材 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹脂と金属との異材接合は、低炭素社会の移動体の軽量化における取り組むべき課題である。本研究では、現在の接着剤や機械的締結以外の、“第三の接合法が本当に存在するのか”との研究課題に挑戦した。申請者らは接着剤等の介在物を使用せず、樹脂と金属とをレーザ直接接合できることを見出した。そこで、低炭素社会で要請のある熱可塑性エンジニアリングプラスチック(熱可塑性エンプラ:ナイロンPA)に対し、金属とレーザ直接異材接合を行い、熱可塑性エンプラと金属との異材接合について、最適な接合条件を見出した。一例として、PAとステンレス鋼との直接接合継手については、引張せん断強度が3000N( 試料幅30mm)を超え、母材のPAが伸びる十分な強度が得られた。また、このような母材がのびた接合強度を有する接合界面に対し、Cs-corrected STEM及びEDS-MAP等の原子レベル構造解析を行った結果、金属酸化膜を介した樹脂と金属とのナノレベルの接合であることが確認できた。従来の研究成果であるPETのエステル結合(-CO-O-)と同様に、アミド結合(-CO-NH-)でもMetal-O-Cの結合が主であることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱可塑性樹脂と金属とのレーザ直接接合法の確立、原子レベル構造解析と量子力学電子軌道計算に基づく樹脂と金属との直接接合機構解明に向けて、熱可塑性エンプラとステンレス鋼等に対する種々のレーザ接合条件を検討し、熱可塑性エンプラと金属との異材接合について、最適な接合条件を確立した。また、特徴的な接合界面に対し、Cs-corrected STEM及びEDS-MAP等による原子レベル構造解析を行えており、研究は予定通りに進捗している
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結合構造に基づき、来年度の電子軌道計算の基本的なデータが得られた。これらの研究成果に基づいて、熱可塑性エンプラと金属とのレーザ直接接合の接合部である金属酸化皮膜の内部と表面を、樹脂と金属との接合の反応場として新しく捉え、“異材接合機構に何が重要であるのか”を明らかにし、レーザ直接異材接合法が第三の接合法として成りえるかを検討する。
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