2015 Fiscal Year Research-status Report
機械的応力負荷による固体内のイオン拡散制御と表面析出抑制
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15K14156
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
荒木 稚子 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (40359691)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面析出 / 高温クリープ / 酸素分離膜 / 応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,四点曲げ試験を用い,表面の引張および圧縮応力が析出現象におよぼす影響を調べた.アニール温度は900℃,アニール時間は最大16時間,負荷曲げ応力は最大28MPaとした.アニール前に,ダイアモンドペーストおよびコロイダルシリカを用い,試験片の引張・圧縮表面に鏡面研磨を施した.表面析出の観察・分析には,走査型電子顕微鏡(二次電子および反射電子),エネルギ分散X線分光器およびオージェ電子分光分析装置を用いた.応力無負荷面では,析出は主に結晶粒界で観察された.析出物は,アニール時間とともに成長することが観察された.無負荷面と比較して,引張応力面では,より小さくより少ない析出物が結晶粒界に観察された.一方,圧縮応力面では,粒界上の析出物はさらに小さく少なくなった上,非常に微細な析出物が粒内にも観察された.元素分析より,析出物は,Srを多く含むこと,さらに同時にSを含むことが確認された.本結果は,応力負荷,特に圧縮応力負荷により,析出現象を抑制できることを示唆している.Sr拡散が表面析出と高温クリープ現象の干渉により,本現象は説明されると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
力学的応力負荷,特に圧縮応力負荷が,表面析出現象抑制に有効であることを示唆した.
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Strategy for Future Research Activity |
表面析出抑制のために,効果的な力学的応力負荷方法について,検討を行う.
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Causes of Carryover |
計画より順調に進んだため,消耗品使用額が大幅に縮小できたため.新たな元素分析装置を購入する予定が,本年度は別の装置での依頼分析で目的が達成されたため,備品使用額が削減できたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は依頼分析で目的を達成したが,依頼分析は継続するには単価が高いため,分析装置の購入を検討している.また,次年度は解析を行うため,最新のコンピュータやソフト等の購入が必須となる.
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