2015 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン/シリコン光電極による革新的水分解反応系の開発
Project/Area Number |
15K14161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉村 博之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10293656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 徹 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70734979)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グラフェン / シリコン / 光水素発生反応 / 電気化学 / 半導体電極 / 酸化防止膜 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェン誘導体を水素終端化シリコン表面に固定化するプロセスと作製した電極の電気化学特性について研究を遂行した.ガスバリア特性に優れたグラフェン誘導体をシリコン表面の透明かつ高導電性酸化防止膜として活用することで,シリコンの表面酸化による電極特性の劣化を抑制し,耐久性の向上を達成した.以下に具体的な研究成果について述べる. 1)水素終端化シリコン(111)表面に酸化グラフェン(GO)分散液をスピンコートするという簡便なプロセスにて,超音波洗浄で剥離しないほど強固な固定化を達成した.GOとシリコンの間に化学結合が生じている可能性を検証するため,GOシート面内に含まれる官能基を持つモデル分子を用いて水素終端化シリコンとの反応性を調査した.その結果,GO面内にあるヒドロキシ基やアルデヒド基に加えて,エポキシ基もシリコンとの化学結合を形成する可能性が示唆された. 2)GO被覆シリコン試料に紫外光照射することで,固定化したGOが還元できることをX線光電子分光測定から示した.電流計測原子間力顕微鏡観察とフォトマスクを介した光照射によって,光照射で還元された領域と非照射領域の局所電気特性を評価した.その結果,還元領域ではより高電導特性である事が示された. 3)酸化グラフェン還元体(rGO)被覆シリコン電極の水溶液中における光電気化学特性を調査した.被覆を行っていない水素終端化シリコン電極では数回の電位サイクルを行うことで光電流は減衰した.本研究で作製したrGO被覆シリコン電極では長時間水溶液中で電位サイクルを100回行った後でも光水素発生反応電流が減衰しない事が明らかになった.化学結合を介して水素終端化シリコン表面にrGOを被覆する事で,半導体電極が持つ光エネルギー変換機能の耐久性が向上している事を示した.
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