2015 Fiscal Year Research-status Report
骨として認知される部分溶融凝固型インプラントの創製
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15K14167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴由 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30243182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 卓也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50508835)
當代 光陽 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10610800)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 積層造形法 / 異方性 / 骨力学機能 / 低ヤング率 / インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨が持つ機能に適合した骨代替材料の創製を目指し、金属粉末積層造形法(Additive Manufacturing法)の自由自在な三次元造形能を駆使し、内部に部分的に凝固部と粉末部を内包し、さらにはその配置による異方性力学機能発現を可能とする「異方性部分溶融凝固型ソリッド/パウダー造形体」とも言うべき構造体の創製に取組んでいる。生体内で骨として認知される力学機能を示し、周囲骨へのオステオサイトを介した働きかけを可能とする部材の創製を目指している。 平成27年度は、電子ビーム積層造形法でのプロセスパラメータ(印加電圧、電流、積層粉末幅、ビームピッチ、ビーム軌道、余加熱の有無など)を検討し、部分溶融・再溶融挙動を最適化した結果、緻密な構造体骨格の作製に成功した。内部構造・力学機能の相関性に関する基礎データ取得のため、一辺約10 mmの立方体状構造体をモデルとし、内部を小さな立方体(例えば一辺約3 mm)要素に分割し、各要素に部分溶融ソリッド部とパウダー部を配置することで、力学機能の設計を試みた。Voigt則、Reuss則複合モデルよる計算と、実際の造形物での力学試験に基づき、生体適用に不可欠な低ヤング率化とヤング率の異方性化を同時に達成するとともに、有限要素解析に計画を前倒して着手し、ヤング率を支配する構造的特徴について特定することに成功した。さらには、結晶集合組織の付与にも一部成功しており、三次元構造と材質の両面からの力学機能異方性設計のための指針を構築しつつある。 次年度は、生物学的観点からの解析を実施するとともに、埋入時の骨に対する影響の解明に取り組む必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画を前倒して有限要素解析に着手し、変形時の応力伝達部位となる内部構造の要素と主応力ベクトルを特定することに成功した。すなわち、この要素の方向性によりヤング率の任意の異方性が設計可能となった。本知見に基づき、実際の骨インプラントデバイス(骨プレートなど)の内部構造設計を進め、低ヤング率インプラントの創製にすでに成功している。以上より、当初計画以上に進展したと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究結果に基づき、部分溶融凝固型複合体のさらなる組織制御・力学特性の骨類似化を行なう。とりわけ、造形パラメータの最適化による溶融池での凝固挙動制御に基づく集合組織形成制御と、熱処理によるパウダー部での力学機能改変に取り組む予定である。これによって、種々の状態の生体骨に対して精緻な力学機能のチューニングが可能になるものと期待される。 創製した異方性部分溶融凝固型ソリッド/パウダー造形体によるインプラントを生体骨に埋入し、骨に対する影響について、① 有限要素計算による応力負荷の観点、② 埋入後の骨微細構造(アパタイト配向性)の観点から解明を試みる。上述のように当初計画を前倒しして研究遂行できていることから、新規インプラントの骨への影響の検討に十分な埋入期間を確保することが可能となった。 上記の計画により、最終的に、新提案の部分溶融凝固型ソリッド/パウダー三次元造形複合体を確立し、本構造体の力学的、生物学的観点からの有用性を実証する。
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Research Products
(9 results)